愛しのオオカミ
14話
「押花ちゃんがんばれ~!!」
「押花先輩ー!可愛い~!」
「黄色ファイトー!!」
走り出す美紀を含めて、選手を応援する生徒たちの声に押され、美紀の足はかけた。
すぐに平均台に乗ってゆっくり進むと、今度は網をくぐり始める。
4人のうち、3番手で網から出た美紀は息を切らしながら、跳び箱を飛んだ。
「はぁ…っ、はぁっ…!」
「美紀ちゃん頑張れ~!!」
「…っ…はぁっ…はぁっ!」
『前をしっかり見ろ』
『手は真っすぐ振った方が走りやすいかな~オレは』
放課後の三人での練習を思い出が浮かぶと、美紀は前を見て真っすぐに手を振って走った。
最後にグンッと体を前に押す感覚を感じる美紀は、2位での完走となった。
肩で息をする美紀は、順位の列に並ぶ際に、テントに視線を向ける。
遠目で手を振ってくれている亮太が見えたが、すぐに視界を教員が横切って遮られた。
(…1位…じゃなかったけど…走れた…!一個も失敗しなかった…こけなかった…!!)
前を向いた美紀は、一人でグッと拳を握り、笑みをこぼした。
笛の音を合図に、立ち上がった美紀たち選手は、入退場門へ戻ってくいくと、入れ替わるように次の種目選手たちが入場していった。
席に戻ると、クラスメイトたちから声をかけられる美紀。
「押花ちゃんお疲れ~」
「めっちゃ速かったよ!」
「あ、ありがとう…っ」
あたふたしながらも、パイプ椅子に座る美紀は、亮太と修の姿を探した。
しかし、二人は騎馬戦のために、事前に入退場門に行ってしまっており、見つけられなかった。
(言いたかったな…)
小さく思いながら、ジャージを着こんだ美紀は、女子と一緒に応援するために顔を上げる。
3年生のダンスを見終わると、拍手をして退場を見送り、亮太と修たち全学年の男子が入場した。
「あの二人、並ぶとエグいな…」
「黒井くんかっこいいぃ…語彙力なくす…無理…」
「土師くーん!!」
どのテントからも、激励と黄色い声が混ざった応援の声が聞こえてきた。
騎馬として騎手の亮太を支える二人の姿を見て、美紀は席から立ち上がり、両手を口に当てる。
「り、亮太くんっ、黒井くん!頑張って!!」
美紀の声に反応するように、二人は拳を上げてみせた。
そして、笛が鳴ると、騎手を乗せた騎馬が走り出した。
黄色い歓声は、完全に応援の言葉となり、美紀も一緒になって大きな声で応援をする。