愛しのオオカミ
修を見ると、フッと笑っていた。
二人の笑う表情を見た美紀は、嬉しくて照れ笑いで返す。
「生徒の皆さんは、各テントに戻ってください」
アナウンスが流れると、三人は再び歩き出した。
しかし、美紀は視界が揺れると修の方によろけた。
咄嗟に支えた修に、美紀は謝った。
「ご、ごめんね黒井くん…っ」
「…いや…」
「美紀ちゃん、ほんとに大丈夫?救護テント行く?」
「大丈夫!ほんとに!ごめんね…」
心配そうに顔を覗き込んできた亮太に、美紀は慌てて笑って首を横に振った。
じっと見つめてくる亮太の視線から、逃げるように視線を泳がせる美紀。
その顔色は真っ赤だった。
「ほ、ほんとに大丈夫だよ…!早く戻ろう…!」
「…うん…」
「……」
二人の視線を感じながら、テントに向かって歩き出した美紀に、亮太と修が続いた。
テントに戻ると、貴重品を預けてパイプ椅子に座る。
(…暑い……)
ジャージのチャックを下ろした美紀は、体への風通しを良くした。
「次のプログラムってなに?」
「一年の借り物競争だって。で、その次にうちらの学年のリレーで、ダンス!」
「押花ちゃん、頑張ろうね〜」
「……」
「押花ちゃん?」
「…あ…っ、う、うん…!」
笑って答えた美紀は飲み物を飲んで、一年生選手の入場に視線を向けた。
二、三組の競技だけでも、笑いや歓声が徐々に高まり、盛り上がりを見せる。
四組目のスタート合図のピストルが鳴ると、一人の女子生徒を美紀の目が追った。
走るごとに、ツインテールが揺れるその姿に見覚えがあった美紀。
(…確か…うららちゃん……)
柳川うららは、伏せられていた数枚の紙の中から一枚取ると、辺りをキョロキョロ見て、借りる物を探していた。
すると、うららのツインテールが再び揺れ、美紀たちのいるテントに向かって来ているのがわかった。
「黒井先輩!私と来てください!」
「…は……?」
うららが修の前で立ち止まると、手を差し出してニコッと笑う。
美紀たちのテント内から、男女の驚いた声が上がった。
修は、うららの顔と差し出された手を交互に見て、口を開いた。
「黒井先輩っ、負けちゃうからお願いします!」
「………」
少し眉をしかめる修は、仕方なくうららの手を取って一緒に走り出す。
各テントから悲鳴に近い女子の叫びが聞こえてきた。
(…え……なんで…)
美紀の目には、ゴールに向かって、手を繋ぐうららと修の背中が焼き付いた。
きゃあっと盛り上がる女子の中で、笑っていない美紀と亮太。
テントから見つめていた二人は、うららと修をじっと見つめる。
二人の笑う表情を見た美紀は、嬉しくて照れ笑いで返す。
「生徒の皆さんは、各テントに戻ってください」
アナウンスが流れると、三人は再び歩き出した。
しかし、美紀は視界が揺れると修の方によろけた。
咄嗟に支えた修に、美紀は謝った。
「ご、ごめんね黒井くん…っ」
「…いや…」
「美紀ちゃん、ほんとに大丈夫?救護テント行く?」
「大丈夫!ほんとに!ごめんね…」
心配そうに顔を覗き込んできた亮太に、美紀は慌てて笑って首を横に振った。
じっと見つめてくる亮太の視線から、逃げるように視線を泳がせる美紀。
その顔色は真っ赤だった。
「ほ、ほんとに大丈夫だよ…!早く戻ろう…!」
「…うん…」
「……」
二人の視線を感じながら、テントに向かって歩き出した美紀に、亮太と修が続いた。
テントに戻ると、貴重品を預けてパイプ椅子に座る。
(…暑い……)
ジャージのチャックを下ろした美紀は、体への風通しを良くした。
「次のプログラムってなに?」
「一年の借り物競争だって。で、その次にうちらの学年のリレーで、ダンス!」
「押花ちゃん、頑張ろうね〜」
「……」
「押花ちゃん?」
「…あ…っ、う、うん…!」
笑って答えた美紀は飲み物を飲んで、一年生選手の入場に視線を向けた。
二、三組の競技だけでも、笑いや歓声が徐々に高まり、盛り上がりを見せる。
四組目のスタート合図のピストルが鳴ると、一人の女子生徒を美紀の目が追った。
走るごとに、ツインテールが揺れるその姿に見覚えがあった美紀。
(…確か…うららちゃん……)
柳川うららは、伏せられていた数枚の紙の中から一枚取ると、辺りをキョロキョロ見て、借りる物を探していた。
すると、うららのツインテールが再び揺れ、美紀たちのいるテントに向かって来ているのがわかった。
「黒井先輩!私と来てください!」
「…は……?」
うららが修の前で立ち止まると、手を差し出してニコッと笑う。
美紀たちのテント内から、男女の驚いた声が上がった。
修は、うららの顔と差し出された手を交互に見て、口を開いた。
「黒井先輩っ、負けちゃうからお願いします!」
「………」
少し眉をしかめる修は、仕方なくうららの手を取って一緒に走り出す。
各テントから悲鳴に近い女子の叫びが聞こえてきた。
(…え……なんで…)
美紀の目には、ゴールに向かって、手を繋ぐうららと修の背中が焼き付いた。
きゃあっと盛り上がる女子の中で、笑っていない美紀と亮太。
テントから見つめていた二人は、うららと修をじっと見つめる。