いちご色の恋予報♡
「ちゃんと見て」

「……恥ずかしい」

「だめ。今の白石、俺だけの顔してる」

その独占みたいな言い方に、胸が熱くなる。

「好き」

莉久がもう一度言う。
今度は、昼よりも、夕方よりも、ずっと深い声で。

「好き。誰にも渡したくない」

いちかの唇が震える。

「私も……莉久が好き」

答えた瞬間、莉久の目がやわらかく細められた。
それから、額にひとつ、やさしいキスが落ちる。

「……っ」

「これでも足りない」

「り、莉久……」

「逃げないで」

逃げるつもりなんて、もうなかった。
だってこんなふうに抱きしめられたら、離れたいなんて思えない。

莉久は確かめるみたいに、そっといちかの頬に触れる。
そして、何より大切なものを扱うみたいに、やさしく唇を重ねた。

短いはずなのに、時間が止まったみたいだった。

離れたあとも、莉久はすぐには手を放さない。
むしろ、もっと近くに引き寄せる。

「これで終わりだと思った?」

「え……」

「まだ足りない。今日の白石、かわいすぎるから」

真っ赤になるいちかを見て、莉久は満足そうに笑う。

「これから先、文化祭も、クリスマスも、誕生日も、全部一番近くは俺がいい」

「うん……」

「返事、ちゃんとして」

「莉久がいい……」

その瞬間、莉久はほんとうにうれしそうに笑った。
ふだんはめったに見せない、甘くほどけた笑顔だった。

「じゃあ約束。ずっと俺の隣にいて」

いちかは莉久の制服をきゅっとつかむ。

「……離れないでね」

そう言うと、莉久はすぐに答えた。

「離すわけない」

夜空に上がった光が、ふたりを照らす。
まるで、いちご色の恋予報が大当たりしたみたいに。

その夜から、いちかは知ることになる。
無口でクールな莉久が、好きな子にだけは、とんでもなく甘くて独占欲が強いことを。

そしてそれは、いちかにとって世界でいちばん幸せな溺愛の始まりだった。
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