いちご色の恋予報♡
「いちご、好きなんだ」
「えっ、あ、うん」
「じゃあ、覚えやすい」
それだけ言って、彼は先に歩いていった。
名前も聞けないまま、始業式の鐘が鳴る。
けれどいちかの胸には、春の風より甘いざわめきが残っていた。
教室に入ったいちかは、黒板に貼られた座席表を見て固まった。
窓側の一番後ろ。
その隣の席の名前は、朝の彼だった。
神谷 莉久。
クラスでも有名な、無口で近寄りがたい男子。
女子に人気はあるのに、誰ともあまり群れないらしい。
「うそ……隣?」
胸が落ち着かないまま席につくと、少し遅れて莉久が教室に入ってきた。
そしていちかを見ると、ほんの少しだけ目を細めた。
「朝のいちご」
「そ、その呼び方やめて」
「じゃあ、白石」
初日なのに、なぜか少しだけ距離が近い。
それがうれしくて、でも恥ずかしくて、いちかはまともに顔を見られなかった。
それから毎朝、莉久はぶっきらぼうなのに、いちかにだけやさしかった。
消しゴムを落とせば拾ってくれる。
高い棚の教材を取れなくて困っていれば、無言で取ってくれる。
雨の日に傘を忘れたときは、自分の傘に当然みたいに入れてくれた。
「神谷くんって、白石さんには甘くない?」
友達にそう言われて、いちかは顔を赤くする。
でも、期待しそうになるたびに思う。
きっと莉久は、誰にでもやさしいだけ。
そう思わないと、苦しくなるから。
「えっ、あ、うん」
「じゃあ、覚えやすい」
それだけ言って、彼は先に歩いていった。
名前も聞けないまま、始業式の鐘が鳴る。
けれどいちかの胸には、春の風より甘いざわめきが残っていた。
教室に入ったいちかは、黒板に貼られた座席表を見て固まった。
窓側の一番後ろ。
その隣の席の名前は、朝の彼だった。
神谷 莉久。
クラスでも有名な、無口で近寄りがたい男子。
女子に人気はあるのに、誰ともあまり群れないらしい。
「うそ……隣?」
胸が落ち着かないまま席につくと、少し遅れて莉久が教室に入ってきた。
そしていちかを見ると、ほんの少しだけ目を細めた。
「朝のいちご」
「そ、その呼び方やめて」
「じゃあ、白石」
初日なのに、なぜか少しだけ距離が近い。
それがうれしくて、でも恥ずかしくて、いちかはまともに顔を見られなかった。
それから毎朝、莉久はぶっきらぼうなのに、いちかにだけやさしかった。
消しゴムを落とせば拾ってくれる。
高い棚の教材を取れなくて困っていれば、無言で取ってくれる。
雨の日に傘を忘れたときは、自分の傘に当然みたいに入れてくれた。
「神谷くんって、白石さんには甘くない?」
友達にそう言われて、いちかは顔を赤くする。
でも、期待しそうになるたびに思う。
きっと莉久は、誰にでもやさしいだけ。
そう思わないと、苦しくなるから。