いちご色の恋予報♡
午前中は大忙しだった。
注文を聞いて、飲み物を運んで、写真を頼まれて。
気づけば、いちかは少し疲れていた。

休憩のために廊下へ出ると、莉久が自販機の前で待っていた。

「これ」

差し出されたのは、いちごミルク。

「え、私に?」

「好きでしょ。いちご」

朝に出会った日から、莉久はそんなふうに、何気ないことをちゃんと覚えている。

「ありがと……」

缶を受け取ったとき、指先が触れた。
それだけで胸が甘くなる。

「午後、後夜祭の前に少し抜けられる?」

「う、うん。たぶん」

「じゃあ、屋上」

それだけ言って、莉久は人ごみに戻っていった。
残されたいちかは、いちごミルクを抱きしめたまま、しばらく動けなかった。

午後。
クラスの仕事を終えたいちかは、そっと屋上へ向かった。

扉を開けると、夕方の風がふわりと髪を揺らす。
校内のにぎやかな音が少し遠くて、そこだけ別の世界みたいだった。
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