極上シークレットマタニティ~黒川家がまだ知らない、たったひとりの跡継ぎ~


「お申しつけ通り、装花のほうを変えさせていただきました。いかがでしょうか」

 本館玄関前に飾っている装花は、季節ごとに専属のフラワーアーティストに依頼をしてプロデュースしてもらっている。

 今回は五月の王道、芍薬とドウダンツツジ。大輪の白や淡い桃色の芍薬に、いきいきとした新緑のドウダンツツジという組み合わせ。

 立派な花をつけた芍薬と、枝を長く伸ばすドウダンツツジとが芸術的なバランスを取った作品となっている。

「とても素敵です。品があり、華やかで。どうもありがとう。先生にもよろしくお伝えになって」

 使用人は「かしこまりました」と頭を下げ立ち去っていく。

 準備の整った玄関を見渡し、小さく息をついた。

 紫乃さんから創史さん帰国の話を受け、早くも一週間が経つ。

 今日、一年ぶりに彼がこの屋敷に帰ってくる。

 帰国の連絡を受けてから、出迎えの準備は着々と進めてきた。今日は創史さんが到着後、本館ダイニングで食事会も予定している。

 創史さんが不在の間、この家を変わらず守るのが黒川家の妻としての重大な役目と自覚している。

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