極上シークレットマタニティ~黒川家がまだ知らない、たったひとりの跡継ぎ~
大きく言ったつもりは微塵もなく、昨夜の自分は確かに危うかった。
美莉から離婚の申し出を受けてなにも考えられなくなり、自身を保てなくなった。
気が動転して、落ち着いて物事を考え始めるまでに相当の時間を要したのだ。
かと思えば、瀬名垣への連絡や、その他の手配に動いているうち、まるで電池切れのように意識を失っていた。体は疲労と時差ボケを無視できなかったということだ。
「創史様には、常に冷静で間違いのない判断力が求められておりますから、精神は常に安定を保っていただきたい。その為には、わたくしは最善を尽くします」
頼もしい瀬名垣の言葉に、ほんの少しだけ心に余裕を取り戻す。
「ありがとう。予定通り進めてほしい」
瀬名垣は「かしこまりました」と一礼し、書斎をあとにした。


