明日になれば、きっと。
本当の私
今日は、陽菜が先生に呼ばれていたから、1人で帰った。
撮影は終わらないままだった。
「はぁ…」
無意識にため息が出ていた。
すると、後ろから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あれ?花城さんじゃん!高山は?」
石川くんだった。
「今日は、先生に呼ばれてるみたいで。」
話す話題を探していると、石川くんが、そういえば!と話し出した。
「賢斗が言ってたんだけどさ、写真撮ってるんだろ?」
まさか、石川くんも知ってたんだ。
「うん。そうだよ。」
すると、興味があるみたいでさらに質問を重ねてきた。
「どんな感じ?」
どんな感じ、って上手くいってないって正直に言うべきだろうか。でも、清水くんと仲がいいみたいだし、意外ともう相談してたりしてるかも。
「でも、あんまり上手くいってないんだよね。」
重い空気にしないように、笑って言った。
すると石川くんはちょっと真面目な顔になって、
「それさ、賢斗にも相談してる?」
え?と、思った。相談って、被写体は私なんだし、清水くんだって忙しいから言えるわけないよ。
「清水くんも忙しそうだから、迷惑をかける訳にはいかないしね。」
すると、手を頭の後ろで組んで、口を尖らせながら言った。
「え〜それでも俺は言った方がいいと思うな。俺、思ったことなんでも言っちゃうし。」
石川くんはそうかもしれない。正直で、嘘が付けない。いつもみんなの中心にいる。自信がない私には難しいことだ。
「私は、自分から言うのとか、苦手で。」
そういうと、理由を聞かれた。
理由なんてひとつしか無かった。
「自信が無いから、かな。自分の言っていることがもし間違っていたら不安だから、言いにくくて。」
そういうと、俺はそうは思わねぇけどな〜。と言われた。理由を聞くと、
「だって、俺は別に自信があるから自分の気持ちを言える訳じゃないよ。自分のことを自分で認めてるから言えるんじゃないかな?」
その言葉にハッとした。そんなこと、考えたこともなかったし、きっと私にはそんな考え方は出来なかった。自信を持つことと、自分を認めることは違う。
そっか。だから、陽菜も、清水くんも、石川くんもみんな眩しく見えたんだね。
次の日の放課後、自分から部室へ向かった。
相談しようと思った。覚悟は決めたし、気持ちだって、まとめてきた。
あとは、清水くんが来るのを待つだけ。来たら、撮影に行く前に呼び止めて、話をするんだ。
そう思っていると、部室のドアがガラッと開いた。
清水くんと目が合った。勇気を出せ。私。そう心に叩き込んで椅子から立った。
「清水くん。少し、話したいことがあるんだけど、いい?」
緊張を和らげるために、笑顔で言った。
清水くんは二つ返事で応じてくれた。
今日は部室に誰もいなかったから、その場で話すことにした。
「清水くんには…申し訳ないんだけど、あんまり上手くいってないなって思っちゃって。」
そういうと、まるで私から言ってきたのが驚いたのか、目を見開いて言った。
「俺も、そろそろ言わないとって思ってたんだ。花城さんの負担になってないかな、って思って。」
まさか、そんなことを言われるとは思わなかった。
「負担になんてなってないよ!私がやりたくてやってるの。そこで相談なんだけど、写真のテーマをもう一度話し合えないかと思ったの。」
清水くんも提案に乗ってくれて、2人で考え直すことにした。
何個か案を出した結果、「私たちの今」を撮ることにした。
綺麗な瞬間だけじゃなく、高校生のありふれた日常を写真に残す。練習の必要だってないし、なにより、『ありのまま』にいちばん近いと思うテーマだったからだ。
「凄くいいと思う。じゃあ、これからは撮ろうと思うんじゃなくて、撮りたい時に撮ってみるよ!」
正直、作ってない自分を撮られるのは怖いけど、でも、写真を通して、本当の私を見つけられたら、と思った。
「私は、何をしたらいいかな?」
このテーマを決めたはいいものの、そこが引っかかっていた。今を撮るってことは、私は特別何かをする必要がない。だから、少しでも手伝えることがあれば、と思ったのだ。
「花城さんは、そのままでいてくれたらいいんだ。」
清水くんは、そう笑った。
「本当に?そのままいるだけでいいの?」
念のため、確認をしておく。
「今から言うこと、もし嫌だったらごめんね。」
突然、清水くんが言い出した。
私にとって嫌なこと?そんなこと、あるのかな。
「うん。わかった。」
話の続きが気になるから、とりあえず返事をした。
「花城さんを見てて、思ったんだけど。花城さんは、どこか壁があるというか。知られたくないことがあるんだろうなって分かったから言いにくかったんだ。でも、花城さんが今回、勇気を出して言ってくれて、俺も言わなきゃと思ったんだ。」
清水くんが一息吸った。
「誰かに合わせなくてもいい。失敗してもいい。嫌われることを、そんなに怖がらなくてもいい。」
清水くんの言葉にドキリとする。
なんで、バレちゃうかな。
なんで、バレてるのに嬉しいって思っちゃうのかな。
なんで、こんなにも視界がぼやけているのかな。
「だから…本当の君を、撮らせて欲しいんだ。」
そういって、手を私に差し出した。
清水くん。私、本当は見つけて欲しかったんだね。
「ありがとう。私も。本当の私を、清水くんに撮って欲しい。」
そう言って手を握った。
窓ガラスに自分の顔が映る。泣いているのに、笑っていた。ああ、私、こんなにも自然に笑うことができたんだな。
もう、無理をしてまで笑う必要は無いのかもしれない。
撮影は終わらないままだった。
「はぁ…」
無意識にため息が出ていた。
すると、後ろから、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あれ?花城さんじゃん!高山は?」
石川くんだった。
「今日は、先生に呼ばれてるみたいで。」
話す話題を探していると、石川くんが、そういえば!と話し出した。
「賢斗が言ってたんだけどさ、写真撮ってるんだろ?」
まさか、石川くんも知ってたんだ。
「うん。そうだよ。」
すると、興味があるみたいでさらに質問を重ねてきた。
「どんな感じ?」
どんな感じ、って上手くいってないって正直に言うべきだろうか。でも、清水くんと仲がいいみたいだし、意外ともう相談してたりしてるかも。
「でも、あんまり上手くいってないんだよね。」
重い空気にしないように、笑って言った。
すると石川くんはちょっと真面目な顔になって、
「それさ、賢斗にも相談してる?」
え?と、思った。相談って、被写体は私なんだし、清水くんだって忙しいから言えるわけないよ。
「清水くんも忙しそうだから、迷惑をかける訳にはいかないしね。」
すると、手を頭の後ろで組んで、口を尖らせながら言った。
「え〜それでも俺は言った方がいいと思うな。俺、思ったことなんでも言っちゃうし。」
石川くんはそうかもしれない。正直で、嘘が付けない。いつもみんなの中心にいる。自信がない私には難しいことだ。
「私は、自分から言うのとか、苦手で。」
そういうと、理由を聞かれた。
理由なんてひとつしか無かった。
「自信が無いから、かな。自分の言っていることがもし間違っていたら不安だから、言いにくくて。」
そういうと、俺はそうは思わねぇけどな〜。と言われた。理由を聞くと、
「だって、俺は別に自信があるから自分の気持ちを言える訳じゃないよ。自分のことを自分で認めてるから言えるんじゃないかな?」
その言葉にハッとした。そんなこと、考えたこともなかったし、きっと私にはそんな考え方は出来なかった。自信を持つことと、自分を認めることは違う。
そっか。だから、陽菜も、清水くんも、石川くんもみんな眩しく見えたんだね。
次の日の放課後、自分から部室へ向かった。
相談しようと思った。覚悟は決めたし、気持ちだって、まとめてきた。
あとは、清水くんが来るのを待つだけ。来たら、撮影に行く前に呼び止めて、話をするんだ。
そう思っていると、部室のドアがガラッと開いた。
清水くんと目が合った。勇気を出せ。私。そう心に叩き込んで椅子から立った。
「清水くん。少し、話したいことがあるんだけど、いい?」
緊張を和らげるために、笑顔で言った。
清水くんは二つ返事で応じてくれた。
今日は部室に誰もいなかったから、その場で話すことにした。
「清水くんには…申し訳ないんだけど、あんまり上手くいってないなって思っちゃって。」
そういうと、まるで私から言ってきたのが驚いたのか、目を見開いて言った。
「俺も、そろそろ言わないとって思ってたんだ。花城さんの負担になってないかな、って思って。」
まさか、そんなことを言われるとは思わなかった。
「負担になんてなってないよ!私がやりたくてやってるの。そこで相談なんだけど、写真のテーマをもう一度話し合えないかと思ったの。」
清水くんも提案に乗ってくれて、2人で考え直すことにした。
何個か案を出した結果、「私たちの今」を撮ることにした。
綺麗な瞬間だけじゃなく、高校生のありふれた日常を写真に残す。練習の必要だってないし、なにより、『ありのまま』にいちばん近いと思うテーマだったからだ。
「凄くいいと思う。じゃあ、これからは撮ろうと思うんじゃなくて、撮りたい時に撮ってみるよ!」
正直、作ってない自分を撮られるのは怖いけど、でも、写真を通して、本当の私を見つけられたら、と思った。
「私は、何をしたらいいかな?」
このテーマを決めたはいいものの、そこが引っかかっていた。今を撮るってことは、私は特別何かをする必要がない。だから、少しでも手伝えることがあれば、と思ったのだ。
「花城さんは、そのままでいてくれたらいいんだ。」
清水くんは、そう笑った。
「本当に?そのままいるだけでいいの?」
念のため、確認をしておく。
「今から言うこと、もし嫌だったらごめんね。」
突然、清水くんが言い出した。
私にとって嫌なこと?そんなこと、あるのかな。
「うん。わかった。」
話の続きが気になるから、とりあえず返事をした。
「花城さんを見てて、思ったんだけど。花城さんは、どこか壁があるというか。知られたくないことがあるんだろうなって分かったから言いにくかったんだ。でも、花城さんが今回、勇気を出して言ってくれて、俺も言わなきゃと思ったんだ。」
清水くんが一息吸った。
「誰かに合わせなくてもいい。失敗してもいい。嫌われることを、そんなに怖がらなくてもいい。」
清水くんの言葉にドキリとする。
なんで、バレちゃうかな。
なんで、バレてるのに嬉しいって思っちゃうのかな。
なんで、こんなにも視界がぼやけているのかな。
「だから…本当の君を、撮らせて欲しいんだ。」
そういって、手を私に差し出した。
清水くん。私、本当は見つけて欲しかったんだね。
「ありがとう。私も。本当の私を、清水くんに撮って欲しい。」
そう言って手を握った。
窓ガラスに自分の顔が映る。泣いているのに、笑っていた。ああ、私、こんなにも自然に笑うことができたんだな。
もう、無理をしてまで笑う必要は無いのかもしれない。