ベリーズカフェ15周年記念オリジナル短編『幸せのバタートースト』坂井志緒/著
 キャラクターものを扱う際には、デザインや製造より、権利関係の調整の方がずっと難しい。ネイルシール自体はもちろん、台紙や外箱、説明書、POP、広告素材まで細かく先方の監修が入るし、情報管理にも細心の注意を払わなければならない。

 もとより我が社は印刷会社なので、その辺の工程には慣れているのだが、3step Nails事業でキャラクターを扱うのは初の試みだ。この素材でのネイルシール製造技術は、うちが特許を取っている。ライセンス契約を含め、たくさんのことを詰めていく必要がある。

 チャンスを逃さないためには、即行動。私と久美ちゃんはすぐにテーマパークの担当者とアポを取り、次の日にはオンラインで打ち合わせを行った。担当者は松川(まつかわ)さんという私より少し年上の女性で、なんとスリステのサブスクサービスのお客様だった。

「私、ネイルアートが大好きなんですけど、五年前にネイルジェルアレルギーを発症して、ジェルネイルができなくなったんです。だからスリステを発明してくれた御社には、本当に感謝してるんです!」

 私たちはオンラインで大いに盛り上がり、翌週には久美ちゃんとふたりで飛行機に乗って現地へ向かっていた。

 今回ネイルシールにするキャラクターは、冒険が大好きなクマの姉弟で、デニムのオーバーオールと耳元のゴーグルがトレードマークだ。実際にテーマパークを訪れてわかったのだが、このキャラは全国区ではないものの、地域では根強い人気がある。園内には、キャラのコスプレをして来場しているお客さんも少なくなかった。

「これは……ネイルシール、ウケそうですね」

「うん。形にできるよう、頑張ろう」
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