ベリーズカフェ15周年記念オリジナル短編『幸せのバタートースト』坂井志緒/著
私は「森川印刷」という、小さな印刷会社を経営している。五年前、二十八歳の時に父から引き継いだのだが、メイン事業だった広告印刷の需要が年々低迷しているため、新しく、簡単にネイルアートが楽しめるネイルシール「3stepNails」を開発した。略称は〝スリステ〟だ。
スリステ事業は順調で、少し前にネイルサロンへの卸(おろし)売(うり)が始まり、先月からは一般消費者向けのサブスクリプションサービスも始まった。会社は一気に忙しくなったが、社長である私には現状に満足している暇などない。日々の業務をこなしつつ、その先の販(はん)路(ろ)や新しい企画を考えるのも私の仕事だ。一年先、五年先、十年先も、この会社が――いや、この会社で働いてくれているみんなが、安心して生活できる基盤を作るために。
だから、五歳も年下のプレイボーイの相手なんかしている暇はないのだ。
私にだってそれなりに恋愛願望や結婚願望はある。けれど、私は女である前に十五人の従業員を抱える会社の社長だ。恋愛をするにしても、結婚をするにしても、相手は慎重に選ばなければならない。
もう二度と、社員たちに迷惑をかけるような恋はしない。私はそう決めているのだ。
スリステ事業は順調で、少し前にネイルサロンへの卸(おろし)売(うり)が始まり、先月からは一般消費者向けのサブスクリプションサービスも始まった。会社は一気に忙しくなったが、社長である私には現状に満足している暇などない。日々の業務をこなしつつ、その先の販(はん)路(ろ)や新しい企画を考えるのも私の仕事だ。一年先、五年先、十年先も、この会社が――いや、この会社で働いてくれているみんなが、安心して生活できる基盤を作るために。
だから、五歳も年下のプレイボーイの相手なんかしている暇はないのだ。
私にだってそれなりに恋愛願望や結婚願望はある。けれど、私は女である前に十五人の従業員を抱える会社の社長だ。恋愛をするにしても、結婚をするにしても、相手は慎重に選ばなければならない。
もう二度と、社員たちに迷惑をかけるような恋はしない。私はそう決めているのだ。