一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます
6 戸惑う気持ち
唇が離れた。
ほんの一瞬のことだったはずなのに、時間だけが取り残されたような気がした。
目の前にいる湊さんの顔も、すぐそばにある肩も、何もかもが見慣れているはずなのに、今までとは違って見える。
自分の呼吸の音だけが、やけに大きく聞こえた。
何が起きたのか、すぐには理解できなかった。
頭では、わかっている。
湊さんにキスされた。
それだけのことなのに、胸の奥では何かが大きく揺れていて、考えようとするたびに、その揺れに邪魔をされる。
ただ、目の前に湊さんの顔があって。
近い。
いつもなら何とも思わない距離なのに、今はどうしていいのかわからない。
視線を逸らそうとしても、なぜか動けなかった。
ほんの少し前まで触れていた唇が、熱を持っている。
そこだけが、自分の身体から切り離されたみたいに意識される。
指先で触れて確かめたいような、でも触れてしまったら、本当に起きたことだと認めることになるような。
そんなわけのわからない感覚に戸惑っていると、
「…… 彩乃?」
呼ばれて、ようやく我に返った。
「…… え」
自分でも驚くほど小さな声だった。
声にならない。
何か言わなくちゃと思うのに、頭の中が真っ白だった。
いつもなら、何か聞かれれば考えて答えられる。
仕事なら、相手の言葉を聞いて、必要なことを整理して、どう返せばいいのかを考えることもできる。
なのに今は、簡単な言葉ひとつさえ出てこない。
唇に残る熱と、胸の奥で速くなった鼓動だけが、妙に鮮明だった。
そんな私を見ていた湊さんが、ふいに目を見開いた。
さっきまでとは違う表情だった。
ほんの一瞬のことだったはずなのに、時間だけが取り残されたような気がした。
目の前にいる湊さんの顔も、すぐそばにある肩も、何もかもが見慣れているはずなのに、今までとは違って見える。
自分の呼吸の音だけが、やけに大きく聞こえた。
何が起きたのか、すぐには理解できなかった。
頭では、わかっている。
湊さんにキスされた。
それだけのことなのに、胸の奥では何かが大きく揺れていて、考えようとするたびに、その揺れに邪魔をされる。
ただ、目の前に湊さんの顔があって。
近い。
いつもなら何とも思わない距離なのに、今はどうしていいのかわからない。
視線を逸らそうとしても、なぜか動けなかった。
ほんの少し前まで触れていた唇が、熱を持っている。
そこだけが、自分の身体から切り離されたみたいに意識される。
指先で触れて確かめたいような、でも触れてしまったら、本当に起きたことだと認めることになるような。
そんなわけのわからない感覚に戸惑っていると、
「…… 彩乃?」
呼ばれて、ようやく我に返った。
「…… え」
自分でも驚くほど小さな声だった。
声にならない。
何か言わなくちゃと思うのに、頭の中が真っ白だった。
いつもなら、何か聞かれれば考えて答えられる。
仕事なら、相手の言葉を聞いて、必要なことを整理して、どう返せばいいのかを考えることもできる。
なのに今は、簡単な言葉ひとつさえ出てこない。
唇に残る熱と、胸の奥で速くなった鼓動だけが、妙に鮮明だった。
そんな私を見ていた湊さんが、ふいに目を見開いた。
さっきまでとは違う表情だった。