一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます
「はい。どちらかというと、控えめな人だと思います」
安田さんは三十六歳。ピアノ講師をしている女性だ。
仕事柄、普段接するのは女性や子どもが中心で、男性と知り合う機会もあまりなかったという。
結婚を望んでいて、できれば子どもも欲しい。 三十六歳になった今、いつまでも迷っているわけにはいかないという思いもあって、昨年セレシアに入会した。
「柴田さんも、昨年のご入会でしたよね」
「はい。僕は四十三歳なんですが……」
柴田さんは少し照れたように笑った。
「周りを見ていると、友人の子どもたちがもう高校生だったり、大学生だったりするんですよ。そういう話を聞いているうちに、自分だけ時間が止まっているような気がしてきて」
「それで、もう一度結婚を考えてみようと思われたんですね」
「はい。僕も家庭を持ちたいと思うようになって」
柴田さんはセレシアに入会してから、これまで何人もの女性とお見合いをしてきた。
けれど、なかなか交際に進んでも長続きしなかったり、気持ちが合わなかったりして、思うようにはいかなかった。
「何人くらいの方とお会いになったんでしたっけ?」
「三十人……まではいかないですけど、二十人以上は」
「そんなに」
「はい。だから、安田さんと本交際になれたときは、正直すごく嬉しかったんです」
柴田さんの表情が、ほんの少し和らいだ。
「安田さんは、僕の話をちゃんと聞いてくれるし、一緒にいても無理をしなくていい。穏やかな人で……この人となら、と思ったんです」
「安田さんも、柴田さんとお付き合いすることを喜んでいらっしゃいましたよ」
私がそう伝えると、柴田さんは一瞬、目を見開いた。
「……そう、ですか?」
「はい」
「でも……」
安心したように笑いかけたあと、柴田さんはまた表情を曇らせた。
「やっぱり、僕のほうが彼女を好きなんじゃないかって思ってしまうんです」
安田さんは三十六歳。ピアノ講師をしている女性だ。
仕事柄、普段接するのは女性や子どもが中心で、男性と知り合う機会もあまりなかったという。
結婚を望んでいて、できれば子どもも欲しい。 三十六歳になった今、いつまでも迷っているわけにはいかないという思いもあって、昨年セレシアに入会した。
「柴田さんも、昨年のご入会でしたよね」
「はい。僕は四十三歳なんですが……」
柴田さんは少し照れたように笑った。
「周りを見ていると、友人の子どもたちがもう高校生だったり、大学生だったりするんですよ。そういう話を聞いているうちに、自分だけ時間が止まっているような気がしてきて」
「それで、もう一度結婚を考えてみようと思われたんですね」
「はい。僕も家庭を持ちたいと思うようになって」
柴田さんはセレシアに入会してから、これまで何人もの女性とお見合いをしてきた。
けれど、なかなか交際に進んでも長続きしなかったり、気持ちが合わなかったりして、思うようにはいかなかった。
「何人くらいの方とお会いになったんでしたっけ?」
「三十人……まではいかないですけど、二十人以上は」
「そんなに」
「はい。だから、安田さんと本交際になれたときは、正直すごく嬉しかったんです」
柴田さんの表情が、ほんの少し和らいだ。
「安田さんは、僕の話をちゃんと聞いてくれるし、一緒にいても無理をしなくていい。穏やかな人で……この人となら、と思ったんです」
「安田さんも、柴田さんとお付き合いすることを喜んでいらっしゃいましたよ」
私がそう伝えると、柴田さんは一瞬、目を見開いた。
「……そう、ですか?」
「はい」
「でも……」
安心したように笑いかけたあと、柴田さんはまた表情を曇らせた。
「やっぱり、僕のほうが彼女を好きなんじゃないかって思ってしまうんです」