一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます
7 この気持ちは、契約じゃない
パーティーまで、あと二日。
昼休みの社員食堂は、いつもより少しだけ騒がしかった。
「ねえ、水野さん」
向かいに座っていた小野さんが、箸を止めて私を見る。
「明後日のパーティー、水野さんの旦那さんも来るんですよね?」
「うん……その予定だけど」
そう答えた途端、小野さんの顔がぱっと明るくなった。
「やっぱり! 楽しみだなあ」
「え?」
「だって、水野さんの旦那さんって、今まで一度も会社に来たことないじゃないですか」
「そうだね」
「なのに、別荘持ってるくらいの人なんでしょう?」
「……まあ」
それだけは、事実だった。
私がうっかり口にしてしまったその情報が、いつの間にか社内でひとり歩きしている。
「絶対、すごい人ですよね」
「どんな人なんだろう」
「やっぱり仕事もできるんですかね?」
「別荘持ってるってことは、かなりお金持ちなんじゃない?」
好き勝手な言葉が飛び交う。
私は苦笑しながら、味噌汁を口に運んだ。
誰も湊さんを見たことがない。
声も知らない。
話したこともない。
ただ、私に夫がいることと、その人が別荘を持っているらしいこと。
みんなが知っているのは、それだけだ。
なのに、いつの間にか『水野さんの旦那さん』は、社内で勝手に立派な人物へと成長してしまっているらしい。
「ねえ、水野さん。どんな人なんです?」
「どんなって……普通だよ」
「普通って!」
昼休みの社員食堂は、いつもより少しだけ騒がしかった。
「ねえ、水野さん」
向かいに座っていた小野さんが、箸を止めて私を見る。
「明後日のパーティー、水野さんの旦那さんも来るんですよね?」
「うん……その予定だけど」
そう答えた途端、小野さんの顔がぱっと明るくなった。
「やっぱり! 楽しみだなあ」
「え?」
「だって、水野さんの旦那さんって、今まで一度も会社に来たことないじゃないですか」
「そうだね」
「なのに、別荘持ってるくらいの人なんでしょう?」
「……まあ」
それだけは、事実だった。
私がうっかり口にしてしまったその情報が、いつの間にか社内でひとり歩きしている。
「絶対、すごい人ですよね」
「どんな人なんだろう」
「やっぱり仕事もできるんですかね?」
「別荘持ってるってことは、かなりお金持ちなんじゃない?」
好き勝手な言葉が飛び交う。
私は苦笑しながら、味噌汁を口に運んだ。
誰も湊さんを見たことがない。
声も知らない。
話したこともない。
ただ、私に夫がいることと、その人が別荘を持っているらしいこと。
みんなが知っているのは、それだけだ。
なのに、いつの間にか『水野さんの旦那さん』は、社内で勝手に立派な人物へと成長してしまっているらしい。
「ねえ、水野さん。どんな人なんです?」
「どんなって……普通だよ」
「普通って!」