一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます
 できれば欠席したい。
 そう思っていたところだった。
「まだ、出欠を迷っていて……」
「え? どうして?」
「その……予定を確認しないと」
 曖昧に答えると、社長はすぐに察したように笑った。
「ああ、旦那様ね」
「……」
 嫌な予感がした。
「旦那様の予定を確認しないといけないものね」
「……はい」
 もう、ここで否定することもできない。
 私が曖昧に頷くと、社長はますます嬉しそうに笑った。
「だったら、ぜひ二人で来てちょうだい」
「……二人で?」
「そう。今回は三十周年の記念パーティーでしょう? 社員だけじゃなく、ご家族にも楽しんでもらいたいと思っているの」
「でも……」
「それにね、私、一度お会いしてみたかったのよ」
「え?」
「水野さんの旦那様」
 心臓が、どくんと鳴った。
「だって聞いてるわよ。会社を経営されていて、背も高くて、とても素敵な方なんでしょう?」
「……」
「それに、水野さんが仕事で遅くなっても嫌な顔ひとつしないんでしょう? 仕事にも理解があるって聞いてるわ」
「……まあ」
 誰だ、その旦那。
 心の中で呟く。
 私の知らないところで、ずいぶん立派に成長している。
「そんな素敵な方なら、ぜひ一度お会いしたいと思っていたの」
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