一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます

81ヶ月の契約、その先へ

 目を閉じても、眠れなかった。
 隣にいる湊の気配を感じるたび、胸の奥が熱くなる。
 さっきまでなら、こんな距離に彼がいるだけで緊張して、どうしていいかわからなくなっていたはずなのに。
 今は違う。
 もっと近くにいたい。
 もっと、この人のことを知りたい。
 そして――この先も、ずっと隣にいたい。
「……彩乃」
 名前を呼ばれただけで、心臓が跳ねた。
「なに?」
「こっち向いて」
 言われるままに身体を向ける。
 暗がりの中で、湊と目が合った。
 その瞳に浮かんでいるものが、今までとは少し違う気がした。
 迷いがない。
 まっすぐに私だけを見ている。
「……どうしたの?」
「いや」
 湊が小さく笑った。
「嬉しいなと思って」
「何が?」
「彩乃が、俺のことを好きだって言ってくれたこと」
 頬が一気に熱くなる。
「……もう」
「だって、ずっと聞きたかったから」
「そんなこと……」
「あるよ」
 湊の手が伸びてきて、私の頬に触れる。
 その手のひらが温かくて、思わず目を細めた。
「俺は、ずっと彩乃が好きだった」
 胸が、きゅっと締めつけられる。
 何度聞いても、信じられないくらい嬉しい。
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