一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます
 昨日までと同じ朝なのに。
 今日からは、本当の夫婦として迎える朝だった。
 翌朝、目を覚ますと、私は湊の腕の中にいた。
 昨夜のことを思い出した途端、顔が熱くなる。
 結婚した。
 そして、初めて夫婦として夜を過ごした。
 そう思うだけで、胸の奥がふわりと温かくなった。
「……起きた?」
 すぐそばから声がして、私はびくりと肩を揺らした。
「湊さん……起きてたの?」
「うん」
 眠そうな声で答えながら、湊が私を抱き寄せる。
「もう少し、このままでいたい」
「でも、仕事……」
「わかってる」
 そう言いながらも、腕は離してくれない。
「あと五分」
「五分だけ?」
「五分」
 私は笑って、湊の胸に頬を寄せた。
 たった五分。
 それだけなのに、幸せだった。
 やがて二人で起き上がり、支度をする。
 朝食を済ませ、出勤する時間が近づいたころ、湊がふと思い出したように言った。
「そうだ。今日、仕事が終わったらヴェインに行くか」
「……うん!」
 思わず声が弾んだ。
「たっちゃんに、ちゃんと報告したい」
「俺もそう思ってた」
 湊が笑う。
「じゃあ、仕事が終わったら駅で待ってて。迎えに行く」
「わかった」
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