一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます

3 恋愛飛ばして結婚生活

「よし、これでいいかな」
 私はペンを置き、改めてプロフィールを眺めた。
 書き終えたばかりの紙には、私自身についての情報が並んでいる。
 我ながら、ずいぶん細かく書いたものだ。
 好きなものは、漫画。
 特に恋愛漫画が好き。
 甘いものも好き。
 苦手なのは、辛いもの。
 休日は家で過ごすことが多い。
 外出するより、家で漫画を読んでいるほうが落ち着く。
 料理は……得意ではない。
 レパートリーが少ないのに、得意とは言えない。
 掃除や洗濯は、嫌いじゃないけど、仕事の忙しさにかまけてつい後回しにしてしまうことがある。
 朝は……弱い。
 仕事は好き。
 というより、仕事をしているときが一番楽しい。
 そこまで書いて、私はペン先で紙の端を軽く叩いた。
「……って、私、奥さんとしての素質、全然ないかも」
 思わず、ため息が漏れた。
 これがもし、私が担当している会員のプロフィールだったら、もう少し違う書き方をするだろう。
 好きなものや趣味は、相手との会話のきっかけになる。
 休日の過ごし方は、結婚後の生活を想像してもらうためにも大切だ。
 家事についても、できることとできないことを曖昧にせず、正直に伝えたほうがいい。
 結婚相談所のカウンセラーとして、これまで多くの会員のプロフィールを作ってきた。
 どんなことを書けば相手に好印象を持ってもらえるのか。
 どんな趣味を書けば会話のきっかけになるのか。
 相手に伝えるべきことと、あえて書かないほうがいいこと。
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