一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます
5 初めてのキス
カウンセリングルームのドアを開けると、三好さんが顔を上げた。
「水野さん……!」
待ちかねていたように、椅子から少し身を乗り出す。
「すみません。急にお時間をいただいて」
「いえ、大丈夫ですよ」
私はそう答えながら、三好さんの向かいに腰を下ろした。
三好さんは四十歳。セレシアに入会して、まだそれほど日が経っていない会員だった。
お相手に求める条件も、決して厳しいものではない。
年収や職業に細かな希望があるわけでもなく、容姿についても「清潔感があれば」と話していた。
自分の年齢を考えれば、あまり高望みはできないこともわかっている。
そう言っていた三好さんだったからこそ、入会して比較的早い段階でお見合いが決まったときは、私もよかったと思った。
最初のお見合いで、すぐに交際へ進めるとは限らない。
けれど、せっかく勇気を出して婚活を始めたのだから、できるだけ早く「この人と会ってみたい」と思える相手と出会ってほしい。
そんな気持ちで見守っていた。
だから――。
「私……何がいけなかったんでしょうか?」
開口一番、そう尋ねられて、私は少しだけ背筋を伸ばした。
「お見合いのことですね」
「はい……」
三好さんは膝の上で両手をぎゅっと握っていた。
指先に力が入っているのが、少し離れたところからでもわかる。
「お相手の方から、お断りのお返事が来たんですよね?」
「そうなんです」
三好さんは困惑したように眉を寄せた。
「でも、私、何も変なこと言ってないと思うんです」
「そう思われたんですね」
「だって、条件だってそんなに細かくしてないし……。お会いしたときも、失礼なことをした覚えはありません」
「はい」
私は静かに頷いた。
「水野さん……!」
待ちかねていたように、椅子から少し身を乗り出す。
「すみません。急にお時間をいただいて」
「いえ、大丈夫ですよ」
私はそう答えながら、三好さんの向かいに腰を下ろした。
三好さんは四十歳。セレシアに入会して、まだそれほど日が経っていない会員だった。
お相手に求める条件も、決して厳しいものではない。
年収や職業に細かな希望があるわけでもなく、容姿についても「清潔感があれば」と話していた。
自分の年齢を考えれば、あまり高望みはできないこともわかっている。
そう言っていた三好さんだったからこそ、入会して比較的早い段階でお見合いが決まったときは、私もよかったと思った。
最初のお見合いで、すぐに交際へ進めるとは限らない。
けれど、せっかく勇気を出して婚活を始めたのだから、できるだけ早く「この人と会ってみたい」と思える相手と出会ってほしい。
そんな気持ちで見守っていた。
だから――。
「私……何がいけなかったんでしょうか?」
開口一番、そう尋ねられて、私は少しだけ背筋を伸ばした。
「お見合いのことですね」
「はい……」
三好さんは膝の上で両手をぎゅっと握っていた。
指先に力が入っているのが、少し離れたところからでもわかる。
「お相手の方から、お断りのお返事が来たんですよね?」
「そうなんです」
三好さんは困惑したように眉を寄せた。
「でも、私、何も変なこと言ってないと思うんです」
「そう思われたんですね」
「だって、条件だってそんなに細かくしてないし……。お会いしたときも、失礼なことをした覚えはありません」
「はい」
私は静かに頷いた。