一か月だけの契約妻のはずが、恋愛経験ゼロの私を社長が溺愛してきます
「……」
 本気でわからない。
 そんな顔をしていた。
「その言葉だけが原因、というわけではありません」
 私はゆっくりと説明した。
「ただ、お相手の方は、その言葉を聞いて結婚後の生活について少し不安を感じたようです」
「不安……?」
「はい」
 私は資料に目を落とした。
「お相手の方は、結婚したら共働きが理想だと考えていらっしゃいました。もちろん、奥様が仕事を辞めること自体を否定しているわけではありません」
「じゃあ、どうして……」
「三好さんの言葉から、結婚したら生活のほとんどを自分が背負うことになるのではないか、と感じたそうです」
 三好さんが目を瞬いた。
「……生活のほとんど?」
「はい。お相手の方は、『自分は結婚したら家族を養うだけの存在になるのではないか』と感じてしまったようです」
「そんな……」
 三好さんは驚いたように首を振った。
「私、そんなつもりで言ったわけじゃ……」
「わかっています」
 私は頷いた。
「三好さんに悪気がなかったことは、私もわかっています」
「だったら……」
 三好さんは少しだけ身を乗り出した。
「結婚したら、男性に養ってもらうって、そんなにおかしいことなんですか?」
「おかしい、とは思いません」
 私はすぐに答えた。
「そういう結婚生活を望む方はいらっしゃいます。男性の中にも、結婚したら自分が仕事をして家族を養い、妻には家庭を守ってほしいと考えている方はたくさんいます」
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