氷の君に、恋の歌を。
でも蓮斗は、驚いた顔も同情する顔もしなかった。
ただ静かに聞いてくれた。
「そうか」
短いそのひと言が、逆にやさしかった。
「朝の歌、すごくきれいだった」
また、同じことを言う。
乃愛は困ったように笑う。
「一宮くん、そればっかり」
「本当のことだから」
さらっと返されて、乃愛の心臓がどきっと跳ねた。
彼はこんなに無表情なのに、ときどき言葉だけがずるい。
まっすぐすぎて、逃げられない。
「俺、音楽のことは詳しくない。でも」
蓮斗は少しだけ間を置いた。
「こわくて震えてる声と、きれいな声の違いくらいはわかる」
「……え?」
「君の声は、まだちゃんと好きが残ってる音だった」
乃愛は息をのむ。
そんなふうに言われたのは、初めてだった。
失敗した日からずっと、自分の歌は終わったのだと思っていた。
もう誰にも届かない。
そう決めつけていた。
なのに彼は、まるで当たり前みたいに、乃愛の中に残っている想いを見つけてしまう。
「一宮くんって、ほんとは優しい人なんだね」
気づけば、そんな言葉がこぼれていた。
ただ静かに聞いてくれた。
「そうか」
短いそのひと言が、逆にやさしかった。
「朝の歌、すごくきれいだった」
また、同じことを言う。
乃愛は困ったように笑う。
「一宮くん、そればっかり」
「本当のことだから」
さらっと返されて、乃愛の心臓がどきっと跳ねた。
彼はこんなに無表情なのに、ときどき言葉だけがずるい。
まっすぐすぎて、逃げられない。
「俺、音楽のことは詳しくない。でも」
蓮斗は少しだけ間を置いた。
「こわくて震えてる声と、きれいな声の違いくらいはわかる」
「……え?」
「君の声は、まだちゃんと好きが残ってる音だった」
乃愛は息をのむ。
そんなふうに言われたのは、初めてだった。
失敗した日からずっと、自分の歌は終わったのだと思っていた。
もう誰にも届かない。
そう決めつけていた。
なのに彼は、まるで当たり前みたいに、乃愛の中に残っている想いを見つけてしまう。
「一宮くんって、ほんとは優しい人なんだね」
気づけば、そんな言葉がこぼれていた。