氷の君に、恋の歌を。

第十五章

教室を出たあとも、乃愛の胸はまだどきどきしたままだった。
自分からキスしたことも、そのあと蓮斗に返された甘い言葉も、全部が頭の中で何度もくり返される。

隣を歩く蓮斗は、いつもより少しだけ空気がやわらかい。
無表情に見えるのに、なんとなく機嫌がいいのがわかる。

「……蓮斗くん」

「ん」

「今日、なんかうれしそう」

乃愛がそっと言うと、蓮斗はちらりとこちらを見た。

「そう見えるか」

「見えるよ」

「なら、そうなんだろ」

あっさり認められて、乃愛は思わず目を丸くする。
< 84 / 114 >

この作品をシェア

pagetop