不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました

第四話 総長、襲来

入学して一週間が経った。
桜はすっかり散り、窓の外から見える青葉は春の陽気に照らされてキラキラと光っている。

ここだけ見ればなんとも青春。

しかし、教室内は今日も授業中だというのにむさ苦しいアラクレクラスメイトたちが「隣町の総長が生意気だ」とか「ウチのグループのヤスがやられた」とか、内容がおどろおどろしい。
先生も気にせず授業を進めていて、私はもちろんそちらに集中しつつ、自然と入ってくる総長とヤスの話を耳にしていた。

前の席に座っている朝比奈くんはもっぱら睡眠学習で、ずっと机に突っ伏して眠っている。友達として役に立てればとノートだけは綺麗に写しているけれど、貸す日がくるかはわからない。
そして隣の席の大吉くん。さすが我がクラス委員長で優等生。背筋を伸ばして授業を聞いていて、その姿に隙はない。
……と言いたいところなのだけれど。


「総長……この学園にもいるんですかねぇ」

「………」


眼鏡のブリッジを押し上げながら興味津々で耳を傾けているものだから、私はため息しか出ない。

一週間過ごしてみてわかったけれど、大吉くんは当初に言っていたとおり、なんでも思い通りにいくのだ。
購買名物のプリンがラスト一つでゲット出来たり、数学の小テストの範囲がたまたま前の日に勉強していたところだったり、隣のクラス委員長を拳ではなく口で言い負かしてクラス中からの支持をとんでもなく得てしまったり…。

とにかく大吉亜門、頭が切れるだけでなく強運をも持ち合わせていて、おそらくこの一学年中…いやもしかしたらこの学園中で一番恐るべき男なのである。

ということは、だ。
大吉くんが今発した言葉を思い返してみる。「この学園にも総長がいるかどうか」というもの…もう愚問。

いるんだろう、どうせ!




昼休み。
もうすっかりお馴染みになった、私たち三人の机をくっ付けて昼ごはんを囲む。
今日の私のお弁当はサンドウィッチ。大吉くんは料理上手のお母さまが作ってくれたというキャラ弁。そして、朝比奈くんは相変わらずのパンだ。
朝比奈くんが私に中身のはみ出たアップルパイ、大吉くんにはメロンパンをお裾分けしたところで、アラクレクラスメイトのひとりが声をかけてきた。


「ボス、ちょっと話いいっすか?」


大吉くん相手に私と朝比奈くんを除くクラスメイトがボスと呼び、畏まって話をするのにも慣れてしまった。
私と朝比奈くんはひと口パンをかじり、大吉くんはお箸をお弁当の上に置いて話を聞く体勢を整える。なんだか嫌な予感がする。こういうときは嫌というほど当たるのが私だ。
< 14 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop