不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました
「どうしました?何かクラスのことでご相談でも?」
「クラスのことというか、先日の隣のクラスのヤツとのタイマンの件で……」
隣のクラスの委員長を論破した件について……。
まさかとは思うけれど、まさかなのでは?
「それが何か?」
「そいつ、早乙女野薔薇會の連中なんすよ」
「…それは、暴走族、みたいな感じの?」
「まあ、暴走族っすね」
きちゃったよ……!早速、大吉くんが待ち望んでいた展開になってしまった。
心なしかワクワクしている大吉くん……そしてベーコンエピ片手に「やってやろうじゃん!」みたいな顔をしている朝比奈くん。まだ面白い何かが始まるわけでも、喧嘩と決まったわけでもないのに…なんだこのふたり。
「へぇ、この学園にも暴走族の人いたんですねぇ」
「それで、そいつを負かしたヤツは誰だって三年の総長が探してるんすよ」
「やっぱり総長いるの?!」
机をバーン!と叩いて立ち上がれば、アラクレクラスメイトくんは「アズマってやつが総長で…」とご丁寧に教えてくれた。
私にとってこれっぽっちも使えない情報がインプットされてしまった。
「先輩が総長なんですね」
「なんか聞いたことあんな…オウジサマみたいな細い腕っぷしで三人まとめてやっちまう総長がいるって」
「それはそれは……」
「なんでそんなに楽しそうなの、大吉くん!」
これはよくない、大変よくない。
大吉くんは類い稀なる強運の持ち主。自分から運を引っ張ってくる男……そんな僕ワクワクしちゃう展開、運の神様が放っておくわけ……。
「失礼するよ」
凛とした声が前の扉からする。
クラス中の視線が一斉にそちらを向くと、焦茶色の艶々な髪を風に遊ばせながら、学ランを肩に羽織って立っている細身の男子生徒がそこにいた。まさかとは思うけれど、まさかじゃ──。
「アズマ……総長」
大吉くんに声をかけたアラクレクラスメイトくんがぽつりと呟いた。心なしか声が震えている。
「おや、僕を探してらっしゃったという方ですか?」
眼鏡のブリッジを押し上げながら立つ大吉くんは、にっこりと微笑んでアズマ総長とやらを見ている。その横顔には余裕しかない。喧嘩のけの字は知らない大吉くんだけれど、強運のきの字はその身体に染み込んでいる。
「君が一年A組のボスを負かしたって子かな?」
「負かしたなんて、そんな大袈裟なものではありませんよ?少し話し合いをしただけです」
「ふうん?君みたいな子が…」
アズマ総長は大吉くんを上から下まで見てから、顎に手を当てて首を傾げた。
大吉くんの見た目はいかにも優等生です、といったものだ。シルバーフレームの眼鏡も、一度も染めたことのないサラサラの黒髪も、色も白いし、背は高いけどがっしりしているわけでもない。
「クラスのことというか、先日の隣のクラスのヤツとのタイマンの件で……」
隣のクラスの委員長を論破した件について……。
まさかとは思うけれど、まさかなのでは?
「それが何か?」
「そいつ、早乙女野薔薇會の連中なんすよ」
「…それは、暴走族、みたいな感じの?」
「まあ、暴走族っすね」
きちゃったよ……!早速、大吉くんが待ち望んでいた展開になってしまった。
心なしかワクワクしている大吉くん……そしてベーコンエピ片手に「やってやろうじゃん!」みたいな顔をしている朝比奈くん。まだ面白い何かが始まるわけでも、喧嘩と決まったわけでもないのに…なんだこのふたり。
「へぇ、この学園にも暴走族の人いたんですねぇ」
「それで、そいつを負かしたヤツは誰だって三年の総長が探してるんすよ」
「やっぱり総長いるの?!」
机をバーン!と叩いて立ち上がれば、アラクレクラスメイトくんは「アズマってやつが総長で…」とご丁寧に教えてくれた。
私にとってこれっぽっちも使えない情報がインプットされてしまった。
「先輩が総長なんですね」
「なんか聞いたことあんな…オウジサマみたいな細い腕っぷしで三人まとめてやっちまう総長がいるって」
「それはそれは……」
「なんでそんなに楽しそうなの、大吉くん!」
これはよくない、大変よくない。
大吉くんは類い稀なる強運の持ち主。自分から運を引っ張ってくる男……そんな僕ワクワクしちゃう展開、運の神様が放っておくわけ……。
「失礼するよ」
凛とした声が前の扉からする。
クラス中の視線が一斉にそちらを向くと、焦茶色の艶々な髪を風に遊ばせながら、学ランを肩に羽織って立っている細身の男子生徒がそこにいた。まさかとは思うけれど、まさかじゃ──。
「アズマ……総長」
大吉くんに声をかけたアラクレクラスメイトくんがぽつりと呟いた。心なしか声が震えている。
「おや、僕を探してらっしゃったという方ですか?」
眼鏡のブリッジを押し上げながら立つ大吉くんは、にっこりと微笑んでアズマ総長とやらを見ている。その横顔には余裕しかない。喧嘩のけの字は知らない大吉くんだけれど、強運のきの字はその身体に染み込んでいる。
「君が一年A組のボスを負かしたって子かな?」
「負かしたなんて、そんな大袈裟なものではありませんよ?少し話し合いをしただけです」
「ふうん?君みたいな子が…」
アズマ総長は大吉くんを上から下まで見てから、顎に手を当てて首を傾げた。
大吉くんの見た目はいかにも優等生です、といったものだ。シルバーフレームの眼鏡も、一度も染めたことのないサラサラの黒髪も、色も白いし、背は高いけどがっしりしているわけでもない。