不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました
普通なら、アラクレたちを前にして怯えるタイプだと思ったのだろう。アズマ総長はもう一度「君が……」と呟いた。残念ながら、怯えるどころかワクワクしちゃうタイプなのだ…この大吉亜門という男は。


「ところで、何かご用でも?」

「ふふ。一年A組のあの子、うちのグループではなかなかのやり手だったものだから…そんな子を負かしたってわけでしょう?うちにスカウトしたいなと思ってね」


そんなスカウト制、暴走族にあるんだ…!?
でも大吉くんといえば、面白いことや予測出来ないことが大好き。さっきの授業では学園の総長について気にしていた…。この男、ワクワクのために早乙女野薔薇會に加入してしまうのでは…?

思わずごく、と生唾を飲み込んで大吉くんを見上げる。そんな視線に気がついたのだろう、にこりと私に微笑んでからアズマ総長に向き合った。


「お断りします」

「「えっ!?」」


私と朝比奈くんの声が重なる。
おそらく朝比奈くんの「え!?」は、なんでそんなもったいないことするんだ、の「え!?」。私の「え!?」は、そんな面白いことすぐ却下するんだ、の「え!?」である。


「理由を聞いてもいいかい?」

「僕ひとりで早乙女野薔薇會に入っても──楽しくないだろうなと思いまして」

「……どういうことかな?」


ぴくりと眉を動かしながらも、アズマ総長はつとめて穏やかに聞いてくる。
グループの長を前にして楽しくない、はいけないと思うよ大吉くん…。なんて、思っていた矢先、私の肩がポンと軽く叩かれた。


「僕の友人たちも一緒に、なら考えます」

「ちょ、ちょっと待っ……!」

「俺なら全然いいぜ!喧嘩なら任せろ!」


「友人たち…?」


さっきまで大吉くんを映していた切れ長の瞳が私を射抜く。

その瞬間──。


「ぐっ……!」

「アズマ総長!?」


突然胸を押さえて片膝をつくアズマ総長に、アラクレクラスメイトたちがざわつき始める。
身体が弱いのだろうか。身体の線も細いし、総長というよりも学園の王子様といっても通用する。今、こうやって膝をついている姿もやたらと似合っているし。

ひとりのアラクレクラスメイトがアズマ総長に近づき、小さな声で「大丈夫ですか?」と尋ねれば、片手でそれを制し、よろめきながら立ち上がる。

本当に大丈夫なのだろうか。心配そうに見つめていると、顔を上げたアズマ総長と目が合った。そして──。


「な、なんて可憐なんだ…!」


ハァーーーーーー!?
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