不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました
思いきり表情を固めていたのだろう。
パンツの君は「昨日のことなら気にしなくて大丈夫ですよ」と優しく声をかけてくれる。でも、今はその言葉が逆に恐ろしい。

何せここはアラクレたちが集まる学園。
優しいふりをしてとんでもない賠償請求や、恋愛小説でもよくある『その代わりこれから俺のいう通りにしてもらおうか』展開が待ち受けているのかもしれないのだから…!


「僕は大吉亜門。クラス委員長ですし、臼井さんも副委員長なので是非仲良くしていただければ…」


………ん?

今なんとおっしゃいました?


「大吉……亜門?」

「そうです、大吉亜門です」

「私を保健室に連れて行って…?」

「ええ。従兄弟が説明したかと…」


まさかの展開である。

ここで私の頭の中が一つの線で繋がった。いや──繋がってしまった、悲しい方向で。
私がズボンをずり下ろしたのは大吉亜門くんで、それなのにわざわざ保健室まで運んでくれて。それだけでなく心配までしてくれる。なんてクラス委員長らしいんだ、ボスらしいけど……?


「いーーーや!情報量多っ!!」

「元気そうですね、良かった良かった」


ぱちぱちと拍手しながら爽やかに微笑んでくれているけれど、思い出してほしい自分。
この人──大吉くんが私を副委員長に任命したのよ?


「あ、あの!本当に昨日はごめんなさい!」

「大丈夫ですよ、びっくりしましたけど」

「あと副委員長の件もごめんなさい!無理!」

「それは困りましたねぇ」


眼鏡のブリッジを押し上げながら眉を下げる大吉くん。
私が副委員長のほうが困るんじゃないかな。持ち前の不運をこれでもかと発揮して大吉くんのパンツご開帳どころじゃなくなると思うし。

そんなことを知らなかったとしても、どう考えたとて昨日の今日で私という人と極力接する機会を減らしたいと思うのが普通だと思うのだ。
なのにどうして、私を副委員長にしたのだろう。


「困るってどうして…私、副委員長なんてとても務まるタイプじゃないです」

「心配しないでください。僕はずっとクラス委員長をやってきましたから、ちょうどいいじゃないですか。バランス抜群ですよ」

「え、えぇ……?」

「それに、僕はもっと臼井さんと仲良くなってみたいんです。あんな面白いことが自分の身に起こるなんて初めてで……」


……ん?なんか雲行きが怪しくなってきた?

ちらりと大吉くんを見ると、どことなく恍惚とした表情を浮かべて私を見つめていた。
しかし、そこに惚れた腫れたといった恋愛的なものは含まれておらず、純粋な興味といったようなものが向けられている。
そう、言うなれば新しいおもちゃを見つけた子供、と言えばいいのか……。
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