不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました
「え、えーっと…」

「入学式のときから臼井さんのこと気になっていたんです。あんなに運が悪い子いるんだ、って。僕は逆になんでも思い通りにいってしまうからつまらないんです。入学式のときも僕の周りだけ何も起きず、巻き込まれずでしたし…クラス委員長になったのも、興味本位で参加したボス決定戦のじゃんけんで一人勝ちしたからなんですよ?」

「わ、わぁ……」


私には絶対に無い展開すぎる。
あと、ボス決定戦からの委員長って何?

大吉くんは席を立ち、私の両肩を掴んで至近距離でその小さくて美しい御尊顔を私に向けてくれる。でも、変に頬を染めているから綺麗だなよりも恐怖が勝つ。


「僕のつまらない毎日を変えてくれるのは臼井さんだけなんです!是非一緒にクラス委員長、副委員長としてB組をまとめ、そして僕のそばで高校生活を有意義なものにしましょう」

「ひぇ……」

「改めて、副委員長やってくれますね?」


大吉くん、君が一番やべぇヤツだったのか──。

穢れなき眼(まなこ)で、いいことを言っているかのように聞こえるけれど、ところどころ不穏な言葉が混じっている。
しかしながら私もただの女子高生。これだけの美形にどんな理由であれ自分が必要であるとここまで渇望されたら心が揺れるというもの。


「わ、わかりました……」

「良かった良かった、これからよろしくお願いします」


パチパチ、と穏やかな笑みを浮かべて拍手をする大吉くんの姿は大変麗しい。

まあ…いっか、なんとかなるだろう。少なくとも委員長と副委員長という間柄、何かと一緒に行動することが多くなる。そういったクラスメイトが出来たのは安心だ。

しかも席は隣同士。大吉くん曰く「僕が臼井さんの代わりにくじを引いたんです。隣になれるといいなと思って引いたので…僕の運も捨てたもんじゃないなぁ」と言っていたから、大吉くんの運はなかなかのものだとみた。
大吉くんもなかなかにやべぇヤツだけど、山賊みたいな人が隣になるよりマシだ。ここは数少ないラッキーに縋っておきたい。


「臼井さん。今日の体育(特)のことは先生からお聞きになりましたか?」

「聞いてないんだけど、その(特)って一体…?」

「鬼ごっこらしいですよ」


鬼ごっこ……高校初めての体育が、鬼ごっこ。

さすがアラクレたちの巣窟、体育の内容もなかなかに破天荒だ。普通、運動がどれだけ出来るとかの測定から始めたりするものと思っていたけれど。
まさかの鬼ごっこ…。

鬼ごっこからまあ参加してもいかな、と思っていた矢先──大吉くんが爆弾を落とす。


「まあ、なんでもアリの鬼ごっこらしいですけど」

「……なんでもアリっていうのは?」

「警察のお世話にならない程度のなんでも、です」
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