不運すぎる私が入学した学校には、強運すぎるボス?がいました
第三話 体育(特)とは
グラウンドで行われている喧騒から逃れ、わたしは裏庭にある木の上にのぼっていた。
途中で膝を擦りむいたけれど、落ちなかったので良しとする。それもこれも、太い枝の上で爽やかな笑みを浮かべて私へ向かって手を差し伸べてくれている大吉くんのおかげなのか。そうでないのかは定かではない。
どうしてこのようなことをしているのか。
それは十分前までさかのぼる。
・
・
いよいよやってきてしまった、体育(特)の時間。
体操服に着替え、グラウンドへ向かうと、そこは血気盛んなアラクレクラスメイトたちが鼻息荒くストレッチをしていた。
大吉くんはというと、眼鏡のブリッジを押し上げながらみんなに「名前の順に並んでくださいね〜」と委員長らしく声をかけていて、私もそそくさとその隣に立って副委員長らしく彼の言葉を肯定するように首を大きく縦に振る。
そんな私を見た大吉くんが小さく笑ったけれど、そんなことが気にならないくらい、目の前で迫力満点なメンチの切り合いが始まってしまったからどうすればいいのかわからない。とりあえず興奮している馬を落ち着かせるが如く「どうどう…」と言っておいた。
さて、そんなこんなの時間もあり。
いよいよ、とんでもなくガタイの良い体育の先生──遠藤先生がやってきて、私たちと向かい合う。
すると周りのクラスメイトたちが「あの人、伝説の…」「お前も知ってんのか?」「当たり前だろ、あの5人相手に…」と気になる言葉を漏らしていたところから予想するに、遠藤先生はアラクレたちの憧れの人らしい。そんな人が今は教員免許を取得して先生やっているんだから、人って変わろうと思えば変われるんだな、とクラスメイトたちの将来に勝手に希望を見出した。
「さて、では早速体育(特)を始める」
遠藤先生が適当に五名選び、前に並ばせる。
その中にピンク髪くんがいて、嬉しそうに指をポキポキと鳴らしていた。どう考えてもこれから授業をやろうという雰囲気ではない。
「こいつらが鬼だ。他のやつらは逃げるでも鬼を迎え撃つでも好きにすりゃいい。鬼に捕まったら…どうなるかわかんねぇしなぁ?警察のお世話にならない程度にマジでやれよお前ら!」
──おおおおおおぉっ!!
グラウンドに響き渡る雄叫び。私の心の中は悲鳴。
とにかく、鬼から逃げないといけないらしい。捕まったらどうなるかわからないし、それよりも血走った目で舌なめずりをしている鬼たちが怖すぎる。
ピーッ!と遠藤先生が笛を吹き、散り散りになって走っていくアラクレクラスメイト。数名は鬼に向かってメンチを切っており、どうやら彼らは迎え撃つようだった。
とにかく早く逃げよう…としたところでド派手に転んでしまい、ピンク髪くんたちをはじめとした鬼に呆れた視線を送られてしまう。
新品の体操服を早速砂だらけにし、私は汚れを叩きながら良さげな場所を探していく。焦れば焦るほど逃げる場所や隠れる場所が見つからない。
途中で膝を擦りむいたけれど、落ちなかったので良しとする。それもこれも、太い枝の上で爽やかな笑みを浮かべて私へ向かって手を差し伸べてくれている大吉くんのおかげなのか。そうでないのかは定かではない。
どうしてこのようなことをしているのか。
それは十分前までさかのぼる。
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いよいよやってきてしまった、体育(特)の時間。
体操服に着替え、グラウンドへ向かうと、そこは血気盛んなアラクレクラスメイトたちが鼻息荒くストレッチをしていた。
大吉くんはというと、眼鏡のブリッジを押し上げながらみんなに「名前の順に並んでくださいね〜」と委員長らしく声をかけていて、私もそそくさとその隣に立って副委員長らしく彼の言葉を肯定するように首を大きく縦に振る。
そんな私を見た大吉くんが小さく笑ったけれど、そんなことが気にならないくらい、目の前で迫力満点なメンチの切り合いが始まってしまったからどうすればいいのかわからない。とりあえず興奮している馬を落ち着かせるが如く「どうどう…」と言っておいた。
さて、そんなこんなの時間もあり。
いよいよ、とんでもなくガタイの良い体育の先生──遠藤先生がやってきて、私たちと向かい合う。
すると周りのクラスメイトたちが「あの人、伝説の…」「お前も知ってんのか?」「当たり前だろ、あの5人相手に…」と気になる言葉を漏らしていたところから予想するに、遠藤先生はアラクレたちの憧れの人らしい。そんな人が今は教員免許を取得して先生やっているんだから、人って変わろうと思えば変われるんだな、とクラスメイトたちの将来に勝手に希望を見出した。
「さて、では早速体育(特)を始める」
遠藤先生が適当に五名選び、前に並ばせる。
その中にピンク髪くんがいて、嬉しそうに指をポキポキと鳴らしていた。どう考えてもこれから授業をやろうという雰囲気ではない。
「こいつらが鬼だ。他のやつらは逃げるでも鬼を迎え撃つでも好きにすりゃいい。鬼に捕まったら…どうなるかわかんねぇしなぁ?警察のお世話にならない程度にマジでやれよお前ら!」
──おおおおおおぉっ!!
グラウンドに響き渡る雄叫び。私の心の中は悲鳴。
とにかく、鬼から逃げないといけないらしい。捕まったらどうなるかわからないし、それよりも血走った目で舌なめずりをしている鬼たちが怖すぎる。
ピーッ!と遠藤先生が笛を吹き、散り散りになって走っていくアラクレクラスメイト。数名は鬼に向かってメンチを切っており、どうやら彼らは迎え撃つようだった。
とにかく早く逃げよう…としたところでド派手に転んでしまい、ピンク髪くんたちをはじめとした鬼に呆れた視線を送られてしまう。
新品の体操服を早速砂だらけにし、私は汚れを叩きながら良さげな場所を探していく。焦れば焦るほど逃げる場所や隠れる場所が見つからない。