君と未完成を綴って。

「……ネタのご提供、ありがとうございます……っ」

「……よくわかんないけど、読んでいいの? やった」


両手からノートがすっと消えていく。

読まれる、読まれる……!!


「……『好きだよ』」

「!?」


瀬川くんが、急に口を開いてそう言った。

ノートを開いて、ページに目を落としている瀬川くん。

伏せたまつ毛が綺麗で、髪がサラサラ前に落ちてる。


「『信じてもらえなくてもいいから。忘れてしまってもいいから。聴いてください。』……いいね。雰囲気が。好きだなぁ」

「……あ!」


小説のっ、冒頭……!!?!

人に音読された恥ずかしさでもう死にそうだけど、そこに瀬川くんの「好きだなぁ」って。

声が良い!!

恥ずかしいより先に来た、「読んでもらいたい」って感情。

音読!

いいな、友達にCVつけてもらうのもいいかも。

瀬川くんはそのヒーローポジの男の子。

めちゃくちゃ声合ってる。今気づいた。


「ね、詩語さん」

「はい! なんでしょうかっ」


テンション向上中のまま瀬川くんの言葉に耳を傾ける。


「僕でよかったら、編集したげるよ」


……??

にこりと笑う瀬川くんの綺麗な顔が、窓から差し込むオレンジの光に照らされて、余計にキラキラして見える。

今、瀬川くん、なんて言いました?
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