【試し読み】年下わんこなパイロットと思いきや、腹黒な雄の愛の罠に絡めとられました【極上のギャップ男子シリーズ】
風早君はメニューを手に取ってデザートのページを見ている。
「千晴さんも食べますか? 苺のケーキありますよ」
「いや、そういう気分じゃないから。それより母に嫌なこと言われなかった?」
昼間もさっきのメッセージでも、ものすごく怒っていた。お見合いに現れた風早君に対して理不尽な叱責をしていなければいいのだけれど。
「僕の心配してくれているんですか? 千晴さんは優しいなぁ」
焦っている私と違って、風早君はいつもと変わらずのんびりしている。その態度が余計に私をそわそわさせた。
「心配してるのに」
「そんな必要ないですよ。『お嬢さんを僕にください』って言っただけですから」
「ん?」
なんだか彼が訳のわからないことを口にしたような気がする。
私が首を傾げると、彼も同じように傾げた。
「わかりませんでしたか? お母さんに結婚の許可をもらったんですよ」
私に向かって満面の笑みを浮かべる彼。でも私は彼の言葉を理解したところで声をあげた。
「なんで!?」
思わず声をあげて立ち上がった。ハッと我に返って周囲を見ると、他のお客さんの視線を感じて慌てて椅子に座った。
できるだけ小声で、でも強い口調で彼に話の先を促す。
「ちゃんと話をして。ごまかさないで」
私がすごんでみせたところで、彼は全然気にもしていない。
「では改めて」
彼が急に姿勢を正したので、私も同じように座りなおした。そして彼のまっすぐな視線を受けとめて見つめ返す。
「空森千晴さん。僕と結婚してください」
「……え?」
にこにことうれしそうに笑う風早君と、思考が追いつかずに口をパクパクさせるしかない私の間に奇妙な空気が流れた。
※試し読みはここまでです。続きは2026/10/10発売です!


