歌う人魚と秘密の小屋で


ここに赴任してきたのはつい最近のことだ。
汐見湊は次の授業の準備をするため、手元の資料に目を通す。色々な縁があって今は高校の音楽の先生をしているが、やってみると意外と悪くないものだ。

生徒たちは素直で良い子たちばかりだ。

ただ女子生徒から送られる熱視線には、たまにどうしたら良いか悩むこともあるけれど。

キーンコーンカーン…
授業の予鈴が鳴る。

湊は資料を手に教室へ向かった。
ガラッとドアを開ける。

キャー!!!汐見先生!

と女子の黄色い声を浴びながら、湊は困ったような笑顔を浮かべる。教壇に立ち、生徒に向かって話す。

「ではみなさん、本日はクラスで行う合唱曲の選曲を行いたいと思います。今から配る資料に書いてある課題曲の中から多数決で選びますので、読んで決めて下さいね。」

ワイワイと生徒たちは何やら話し始める。

授業が終わる頃にやっと決まったのは、

「カントリーロード」だった。
これなら合唱曲にも遜色ないだろう。

授業の終わりを告げる鐘が鳴る。

「では次回から合唱曲のパート決めと練習に入ります。今配った資料は次も持ってくるように。」

伝えると、湊は教室を後にした。
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