恋愛は業務外につき。



パシャッ



シャッター音が響いた瞬間、空気が変わった。

鳴瀬さんの顔が、琉くんの顔が。

さっきの軽い笑顔と打って変わって、大人っぽい顔。

姿勢ひとつで、口角のミリ単位で。

こんなにも印象が変わるんだ。

横。

ななめ。

真顔。

笑顔。

何枚も何枚も撮っていくうちに、見ているこっちはどんどん魅せられていく。

鳴瀬、琉。


「これが、プロ……」


*ーーー*

雑誌撮影、インタビュー、ドラマ顔合わせ、ラジオ収録、CM案件。


「鳴瀬さん、お疲れ様でした。今日の仕事はこれで終わりなので、家まで送ります」

「送ってくれるの? やったね。ありがとー」


一日の仕事を終え、これからのスケジュール確認や雑務も終わった。

鳴瀬さんもちょっとお疲れモードだし、そろそろ帰ろう。

ふたりで事務所を出て、車に乗る。

人手不足&資金不足のこの事務所では、ほとんどのマネージャーが自家用車でタレントを送迎するらしい。

ガソリン代とかは出されるからいいんだけど、私が気にしてるのはそこじゃなくて。

推しが!! 自分の車に乗るっていうのが!!


「杏莉ちゃん?」

「なんでもありません、行きましょう! シートベルトできました!?」

「できてまーす。テンションだいじょぶそ?」

「あはは。いや、マネージャーってやっぱり大変だなって」


もちろん、色んな意味で。


「……杏莉ちゃん。無理そうだったら、辞めればいいからね。体壊すまで続けないように」
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