無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
「雨野(あめの) 冬我(とうが)」

「雨野さんは、煌也くんのご友人ですよね?」

「冬我と呼べばいいって言っても君は聞いてくれなさそうだよね」

「?? 冬我さんと呼んでも良いならそうしますが?」

「…………」

「冬我さん?」

「いや、やっぱり君と煌也は違うね」

そう言いながら、冬我さんの足はいつの間にか止まっていた。

大衆居酒屋の前で。

「藤香ちゃん、お酒飲める?」

「飲めますが、明日仕事なので……」

「了解。じゃあこっちの方がオススメ」

冬我さんが大衆居酒屋の横の小さなお店に入っていく。

店内はお洒落で、バーみたいな雰囲気もある場所だった。

カウンターに座った冬我さんが私に隣に座るよう促(うなが)してから、店主らしき人に話しかけた。

「この子、今日はお酒飲めないから。代わりにノンアルで良い感じの作ってあげて」

店主らしき人は私と顔を合わせて穏やかに微笑んだ後、そのままドリンクを作り始める。
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