無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
「仕方ないなぁ。じゃあ、来週俺が友達呼んで気軽なパーティーをする予定だから二人も来てよ。堅苦しいやつじゃないから良い練習になると思うよ?」

実践の場は絶対にいると私もずっと思っていた。

だから、これは嬉しい機会。

でも、冬我さんはわざと私と仲の良い雰囲気を煌也くんに見せてから、この提案をしている。

昨日のことを説明出来ないまま、私から冬我さんのパーティーに参加したいと言ったら煌也くんは勘違いするかもしれない。

さっき煌也くんの気持ちを聞いたからこそ、こんなところで拗(こじ)れたくないのに。

「冬我さん、何を考えているんですか……?」

つい小さな声でそう言ってしまった私に、冬我さんが近づいた。

近づいて……そのまま私の耳元に口を寄せる。




『ここで藤香ちゃんが断ったら煌也の教育係失格じゃない? 生徒の教育の場を奪うの?』




ついビクッと身体が震えてしまう。

昨日冬我さんと話せて、少しは仲良くなれたと思っていた。

本当は冬我さんが私の傷つく言葉を選ぶ人ではないと分かっている。

でも、煌也くんの教育係失格と言われて、この誘いを断れるほど私は強くなくて。
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