無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。
私の勢いのある言葉を聞いて、冬我さんが「あははっ」と楽しそうに笑う。

そして、いつもの雰囲気に戻った気がした。

「やっぱ藤香ちゃんのドレス藍色にしよっと」

「もう好きにして下さい!」

「うん、好きにする。俺が藤香ちゃんに一番似合うと思うのをあげる。パーティーを楽しんで欲しいから」

急にそんなことを言い出したかと思うと、冬我さんは煌也くんの方を見て穏やかに笑った。

「煌也、意地悪してごめんね。ちょっとからかいたくなっちゃって。普通に二人にパーティーを楽しんで欲しいだけだから」

煌也くんの表情が少し落ち着いたことを確認してから、冬我さんが帰っていく。


「じゃあ、また来週に。二人が来てくれるのを楽しみにしているよ」


嵐のように現れて嵐のように去っていく冬我さんに呆気(あっけ)に取られてしまう。

それに先ほどの煌也くんの告白を思い出してしまい、このまま二人でいるのもまだ気まずい気がした。

「……私たちも帰ろっか、煌也くん」

私の言葉に煌也くんは少し考えた後、「せめて送らせて」と柔らかく笑った。
< 48 / 66 >

この作品をシェア

pagetop