無自覚に胸キュンさせてくる御曹司が対処しにくい。

「そう、藤香ちゃんが真面目を一番の褒め言葉にしてくれた。『大切なことに誠実に向き合う真面目は最高に格好良い』『私もそんな真面目になりたい!』って。社交性が低くて悩んでもどんなことも試そうと思えた。だから、冬我に教えを頼んだ。まぁ僕の性格じゃ全て上手くはいかなかったけど」

「いつかちゃんと藤香ちゃんに胸を張れる人間になれたら、藤香ちゃんに会いに行くつもりだった。でも僕の状況を心配した父が藤香ちゃんに教育係を頼んだ時、つい嬉しくて断れなかった。結局そういう時だけ狡い自分が嫌で、でも実際に藤香ちゃんに会ったら全部吹き飛んだ。嬉しくて抱きしめちゃったし」

「藤香ちゃんは抱きしめたのも冬我のチャラさを真似たって勘違いしてたけど、違う。藤香ちゃんだから触れたかっただけ。昔から当たり前みたいに僕を救ってくれる藤香ちゃんが大好き。ずっとずっと大好きで……大好きだから、救われるだけじゃ嫌なんだ」




煌也くんが私に一歩ずつ近づく。

煌也くんが止まったのは、私の目の前まで来た時だった。





「これからは僕が藤香ちゃんを守る側になるから、僕と付き合って下さい」





一切目を逸らさずにそう告げた煌也くんの瞳から涙が一粒溢れた。

そんな煌也くんの涙を……気づいたら、私はそっと手で拭っていた。
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