愛と優しさのちょっとした話。
【 2時間目:国語 】
「じゃあ、班活動始めまーす。机くっつけて、この時の主人公の心情について班で話し合ってください」
物語文読解の授業。
木葉(このは)先生は生徒会担当なので、みんないつもより聞き分けが良い(いつも良いけれど)。(※治安の良い学年)
班で机をつけて、さっき読んだ物語の主人公について話し合い始める。
海は2班、風優は3班の班長。
ちなみに冴斗は2班のメンバー。
「じゃあ、ひとりずつ書いたこと言って。もう書けてるやついる?」
「はいはーい。唯書けたよ」
海が話を振ると、班員の唯(ゆい)が軽く手を挙げた。
「じゃあ唯から。なんで主人公は涙を流した?」
「困ってるんだよ。怒ってる人は困ってる人って言うじゃんか。どうしようもなくなって、泣いちゃうの」
「あー、私もそれ思った。寂しかったのかなぁ?」
唯に続き、未彩(みさ)も同意。
「次冴斗……」
海が冴斗を見ると、すーすーっと聞こえてくる寝息。
「おい冴斗。寝るな」
「んぅ……?」
(唯・未彩の心の声:冴斗くんの寝顔が癖に刺さるんだよなぁ……!!?!? お母さんみたいな海くんも好きぃ……!)
「冴斗。主人公の心情」
「んー……泣くのは悲しいからでしょ……」
目を閉じて伏せたまま、冴斗はぼそっと呟く。
「この物語読んでないな冴斗」
「……読んだよ、昨日……」
「読んでるのかよ。予習してるなら分かるだろ」
「さっき言った……。悲しいんじゃないの……」
「だーから、」
海が呆れて口を開いた時、
「色織くーん。さっき寝てたね〜?」
「起きてます」
木葉先生に声をかけられ、途端バッと起き上がる冴斗。
「冴斗……」
引く海。
「冴斗くんって年上の女の人に弱いよねぇ」
「いちばんダメなやつだね〜」
「ゔっ」
唯と未彩に図星をつかれ、冴斗が苦い声を出す。
「色織くんはあれだよねぇ、普段優しいけど怒ったら怖そうな女の人に弱いよね」
「あぁ、まぁ、……そうですね……」
冴斗がパッと思い浮かべたのは、神夜、羽織、碧依、先生、母。
「さらに最悪なレッテルが先生によって追加されたな。本人認めてるのがこれはまた」
海が笑うと、冴斗が拗ねる。
(唯・未彩:供給過多ありがとう神よ……!!)