愛と優しさのちょっとした話。

【 3時間目:理科 】

玉ねぎの根の、細胞分裂を観察する授業(顕微鏡)。
理科もゆるいので実験は自由席制。
「冴斗。プレパラート作ったからピントとか合わせて」
「わかった」
海からプレパラートを受け取り、顕微鏡をのぞいて数秒でセットし終わった冴斗。
「早」
「普通」
「数秒でそんなピント合わないから」
「え?」
「冴ー、それもう見えんの?」
「見える。海どうぞ」
「ありがと。あ、見えるな。面白い。根の先端の細胞分裂。これさ、最初に染色体がーー」
理科になると、饒舌に喋り出す海。
そのうち風優が顕微鏡をのぞき、海は冴斗の隣に立つ。
風優が「わーすごっ。なんかいっぱいある! これ細胞だっけ? あれ、細胞ってアレでしょ、去年教えてもらった部屋のどうたら。植物ってことはあれかな、規則性があるんだっけー」とペラペラ喋っている間も、海は冴斗に説明をし続ける。
「……オレ聖徳太子じゃないんだから。ふたり分の話同時に聞けるわけじゃないんだけど……」
冴斗が呟くも、理科大好き海と細胞にはしゃぐ風優に聞こえるわけがなく。
周りのみんなには「なんか会長が珍しくいっぱい喋ってる……」と好奇心の目で見つめられる始末。
レポートをぎしぎしに達筆で埋めた海は、満足気に授業を終えたそうです。

「準備なんにもしてない風優が片付け全部やれよ」
「先帰ってるね」
「置いてかないでよっ!!? ひとりなの!? ボクひとりでやるの!?」
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