保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました
「あー……」
先輩が、少し困ったように眉を寄せる。
「まぁ、いずれ知られることだとは思うけど。焦って言う必要もないんじゃない? 俺たちのペースで、ゆっくり考えよう」
「……はい」
「正直言うとさ」
先輩が、少し声のトーンを落とした。
「咲奈のことが噂になって、また変な絡み方されるのは心配なんだ。俺は別に、何を言われても平気だけど。咲奈が傷つくのだけは、嫌だから」
その言葉に、胸の奥がきゅっと締めつけられる。
軽い調子の裏に、ちゃんと私を守ろうとする気持ちが見えて、なんだか泣きそうになった。
「私は、大丈夫です。先輩がちゃんと味方でいてくれるなら」
そう言いかけて、私はふと、もう一つの不安に気づいてしまう。
「あの……田村先輩たちのことだけじゃなくて」
「ん?」
「海里先輩って、モデルのお仕事してますよね。私みたいな、何でもない一年生と付き合うことになって、その、大丈夫なんですか?」
言いながら、自分でも急に怖くなってくる。
もし、事務所の人に反対されたら。
もし、週刊誌に撮られて、先輩の仕事に迷惑がかかったら。
そんな想像が、次々と頭をよぎった。