保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました
「ああ、それ」
先輩が、少し困ったように笑う。
「事務所的には、恋愛禁止ってわけじゃないけど。公表するタイミングとかは、多分マネージャーと話す必要があると思う」
「そう、ですよね……」
「でも、それは俺の側の話であって。咲奈ちゃんが気にすることじゃないよ」
先輩が、まっすぐにこちらを見る。
「もし、咲奈ちゃんの存在が誰かに知られて、変に騒がれるようなことがあったら。そのときはちゃんと、俺が事務所とも話をつける。咲奈ちゃんに迷惑がかかるようなことには、絶対にさせないから」
その言葉に、少しだけ肩の力が抜けた。
「……先輩でも、そういうこと考えるんですね」
「そりゃそうだよ。俺だって、一応仕事してる身だし。それに」
先輩が、わずかに声を落とす。
「これまで付き合ってきた人たちとは、その辺、あんまり深く話し合ったことなかったんだよね。多分、そこまで真剣じゃなかったんだと思う、お互いに」
「……」
「でも、咲奈ちゃんとは違う。ちゃんと、この先のことも考えたい」
その一言に、胸の奥が温かくなる。