保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました
住宅街の一角、閑静な通りに建つ二階建ての一軒家が、先輩の家だった。
モデルをしているからか、もう少し派手で大きな家を想像していたけれど、意外にも落ち着いた佇まいの、ごく普通の一軒家だ。
「意外と普通のお家なんですね」
「なんだよ、それ。もっと豪邸を期待してた?」
「ちょっとだけ」
「正直だな、咲奈は」
苦笑いしながら、先輩が玄関の鍵を開ける。
「ただいまー。誰もいないと思うけど」
「あれ、ご両親は?」
「親父は出張中。母さんは、友達とランチ行くとか言ってたから、まだ帰ってこないと思う」
鍵を開ける音を聞きつけたのか、玄関の向こうから、カリカリと爪が床を叩く音が近づいてきた。
「わんっ!」
勢いよく飛び出してきたのは、写真で見た通りの愛らしい白のポメラニアンだった。
「リン、ただいま。ほら、この子が咲奈だよ」
先輩がそう紹介すると、リンちゃんは私の足元をくるくると回りながら、匂いを確かめるように、くんくんと鼻を鳴らす。
「わぁ、可愛い……!」