保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました
しゃがみ込むと、リンちゃんは後ろ足で立ち上がるようにして、私の膝にちょこんと前足をかけてきた。
「お、気に入られたっぽいな」
「うちのチワワも、初めて会う人にはこうやって甘えるんです。似てるかも」
そっと頭を撫でると、くりくりとした瞳がこちらを見上げてくる。
こんなに可愛い子に、あの日はあんなにも悩まされたなんて。
思い出すと、なんだかおかしくなって、私は小さく笑ってしまった。
「どうしたの?」
「いえ、なんでも」
夏休み中、この子の名前ひとつで、あんなに胸を痛めていた自分のことを、先輩にはまだ内緒にしておくことにした。
きっと話したら、からかわれるに決まっている。
それに、あの頃の自分の勘違いっぷりは、少しの間、自分の胸の中だけにしまっておきたかった。