保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました
「睨んでません」
「睨んでたって。可愛かったけど」
からかうように笑う先輩に、私はそっぽを向く。
「みんなの前だと、あんなふうにしないといけないんですか?」
「まぁ、そういう役目だし。それに……」
先輩が、悪戯っぽく目を細める。
「咲奈が、やきもち焼いてくれるところ、正直嫌いじゃない」
「……先輩、性格悪いです」
「知ってる」
悪びれもせずそう言う先輩に、思わず笑ってしまう。
「でもさ」
先輩の声のトーンが、わずかに変わった。
「みんなの前でどんな顔をしていても。こうして誰もいないところで、咲奈にだけ見せられる顔があるって、それで十分だと思ってるんだけど」
「……」
「駄目?」
まっすぐに見つめられて、何も言えなくなる。
ずるいのは、こういうところだ。
散々からかっておいて、最後にはこうやって、核心を突いてくる。
「……駄目じゃ、ないです」
「よかった」
先輩が、ポケットから小さな包みを取り出した。
「はい、これ」
「何ですか?」