保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました
開けてみると、中には小さなキーホルダーが入っていた。
シンプルな、星のモチーフ。
「文化祭の出店で見つけてさ。咲奈に似合うかなって」
「……ありがとうございます」
「あとさ」
先輩が、照れくさそうに続ける。
「これからも、何か困ったことがあったら、ここに来てよ。ここなら、誰にも見られずに二人で話せるから」
「屋上が、待ち合わせ場所ってことですか?」
「そう。俺たちだけの、秘密の場所ってことで」
なんだか、子供っぽい提案だと思う。
でも、こういう他愛のない約束が、ふたりだけの特別なものになっていくんだろうな、と思うと、自然と頬が緩んだ。
「分かりました。じゃあ、何かあったら、ここに来ます」
「うん。俺も、咲奈に会いたくなったら、ここに呼び出すから」
「それ、ただ会いたいだけじゃないですか」
「うん、認める」
悪びれもせずに笑う先輩に、私はますます笑ってしまう。
夕陽が、屋上のフェンス越しに、二人の影を長く伸ばしていた。
グラウンドのほうから、後夜祭の花火が打ち上がる音が、遠く聞こえてきた。
──ドォン。
夜空を彩る光を、フェンス越しに二人で見上げる。
「綺麗ですね」
「うん。咲奈と見る花火は、なんでこんなに特別に見えるんだろうな」
「それ、単に私に言いたいだけの台詞じゃないですか」
「ばっちり顔に出てた?」
さっきと同じようで少し違う返しに、また笑いがこぼれた。