保健室の目覚まし係になったら、学校一の沼男に捕まりました
思えば、あの日。
保健室のベッドで眠っていた須藤先輩に、頭突きしたところから全てが始まった。
キスされそうになって、目覚まし係を押しつけられて。
面倒なことを引き受けてしまったと、あのときの私は、ただただうんざりしていたのに。
半年も経たないうちに、私はこの人の隣を、世界で一番落ち着く場所だと思うようになっていた。
素直じゃなかった自分も、可愛いという言葉を疑っていた自分も。
先輩と過ごした季節のひとつひとつが、少しずつ、今の私を作ってくれた気がする。
星のキーホルダーを、そっと両手で包み込む。
いつかこれを堂々と鞄につけて、隠さずに二人で歩ける日が、きっと来る。
そう信じられるくらいには、私はもう、あの頃の臆病な自分から変わることができたのだと思う。
明日もまた、私は保健室へ向かうだろう。
「先輩、起きてください」と、これまでと同じように声をかけるだろう。
そんな何気ない毎日の続きが、これからもずっと、私たちの物語であり続けるんだと思うと──それだけで、胸がいっぱいだった。
【完】


