ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
(昨日の夜、ドカ食いしたせいかも)

隆矢から電話が何度もかかってきたせいだ。

また嫌なことを言われそうで出なかったが、イライラして夜食にカップ焼きそばとメロンパン二個を食べてしまった。

(これ以上太ったら、着られる制服がない。気をつけよう)

表から見えないカウンターの陰でお腹の肉をつまんでいると、初老の夫婦の宿泊客が目の前に立った。

「チェックアウトをお願いします」

「かしこまりました。確認いたしますので少々お待ちください」

このホテルは『ザ・リンドン・ハートリー札幌』という名の外資系ホテルで、日本には三つ、世界各地では二十の系列ホテルがある。

ホテル名に大都市の名がついているが所在地は札幌から車で二時間ほどもかかる山間部で、二十年前の創立時に当時のオーナーが田舎町は知名度低いからとわかりやすい都市名を入れたそうである。

この町の名物は温泉だが温泉旅館が建ち並んだエリアとは少し離れた場所にあり、高級リゾートホテルという位置づけで客層は富裕層が多い。

目の前の夫婦も品のいい身なりをしていて、一週間ほどゆっくりと滞在してくれた。

「お待たせいたしました。昨日、ご精算くださいましたので追加のお支払いはございません。こちらでチェックアウトは完了でございます。当ホテルをご利用くださいまして誠にありがとうございました」

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