ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
真紀に言われ、そうかもしれないと頷いた。

彼にとってはそれほど大切な思い出なのだろう。

「どうして私は忘れてしまったんだろう。頭打って記憶喪失になったことあったっけ?」

夢美に「ないよ」と即答された。

「だよね」

もやもやした気持ちのまま伸びてしまったシメのうどんをすすり、室内ドアを見た。

「せめてヒントくらいくれてもいいのに」

聞かれても困らない。

むしろ彼に届け、という気持ちで声を大きくした。



鍋パーティーから数日が過ぎ――。

気がつくとスイートルームのようなゴージャスな寝室にいた。

ベットライトだけが灯されて薄暗く、クイーンサイズの大きなベッドが部屋の中央にドンと置かれている。

ここはどこかと不思議に思うこともなく、ベッドに腰かけた。

(いい座り心地。このベッドマット、どこの商品?)

ホテルマンとして興味が湧いて調べようとしたが、ふと体の異変に気づく。

(私って、こんなに痩せてた?)

ほっそりとした腕や足に、くびれのあるウエスト。スレンダーな体形に変身していて戸惑ったが、ダイエットしたのだと記憶にない理由をこじつけて納得した。

「お待たせ」

耳元にゾクッとするほど色気のある声がして肩を揺らした。

隣にはいつの間にか海崎が座っていて、ベッドに優しく押し倒された。

(待って、こういうのはまだ早いって!)

< 100 / 242 >

この作品をシェア

pagetop