ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
(絶対、わざとだよ。ドキドキさせて私を恋に落とそうとしてるんだ)

わかっていても、その作戦通りに心が動き始めている。

(夢にまで見るなんて。もう結構好きになってる?)

冷静に自己分析して気持ちをはっきりさせたいが、胸の高鳴りが判断を妨げる。

(半裸で抱きしめてくるなんて、あんなの恋をしていなくてもドキドキするでしょ。素敵だなと感じるのもテレビ俳優に対して思うのと同じミーハーな気持ちかもしれないし、恋なのかがわからない。あれ? そもそも恋ってどういう感情なんだっけ……?)

二十七歳にして恋がわからなくなり、布団の上で静かに混乱した。

(考えれば考えるほどわからなくなりそう)

今日は平日だが鈴花のシフトは休みで、考え事に時間を費やすのはもったいないので動き出す。

(まずは朝ごはんだ。なににしよう)

今朝は海崎に作ってもらえない。

彼は早朝に自宅を出て空港に向かい、今頃は羽田空港行の飛行機の中かもしれない。

東京の系列ホテルでの仕事の他にも別事業の関係で人と会う約束があるそうだ。

片づき次第戻ると言っていたが、今夜は帰れないのはほぼ確実で何日かかかるかもしれないらしい。

台所に立って冷蔵庫を開けながらも、昨夜抱きしめられた余韻が続いている。

(もしかして恋に落とそうという企みじゃなくて、しばらく会えないから寂しくて引き留めただけなのかも)

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