ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「お店のだよ。持って帰れないの。ママ、荷物が重たいから、まっすぐお家まで歩いてね」
「のりゅ」
「ベビーカーはないよ。タイヤが壊れたの。直してもらうまで乗れないよ。歩こうね」
「ママ、だっこ」
「えっ……」
(小さい子を連れての買い物ってすごく大変そう)
肩掛けしている買い物袋はパンパンで重そうだ。
大人の足で歩いたら十分程度の帰路も、子供の手を引いてとなると長い道のりになるのは想像できた。
「ご自宅まで私が買い物袋を持ちますよ」
「そんな、悪いです。杏野さんはこれからお買い物ですよね?」
「あとで買いにきます。今日は暇を持て余していたので、お手伝いさせてください」
「それじゃ、お願いできますか? 正直言って、どうしようと思っていたんです」
あちこち興味を示して立ち止まってしまう男の子と可愛い散歩を楽しんで、三十分ほどかかって無事に自宅まで送り届けた。
「本当にありがとうございました」
玄関で何度もお礼を言われ、照れくさくなる。
「歩いたおかげでカロリー消費できましたし、楽しかったので気にしないでください。それじゃまた」
スーパーマーケットまでの道のりを引き返す。
その途中で公営住宅の前を通りかかると、「あっ」となにかに驚いているような声が上の方から聞こえた。
次の瞬間、目の前に敷布団がドサッと落ちてきて驚いた。
(えっ、どこから!?)