ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
その流れで夜は会食になるだろうと予想し実際に食事に誘われたのだが、急いで帰らなければならないからと断ったらしい。

山道を下りきった。湖沿いの走りやすい道にウインカーを上げた彼の打ち明け話に目を瞬かせる。

「急ぎで帰らなければならない用事が本当にあったの?」

「いや、ないんだ。最初は俺も会食をする気だった。だが、復路便の空席を何気なくチェックしていると、急げば乗れる便があったんだ。それに乗れば鈴花に会えると思ったら、口が勝手に会食を断っていた。だから近いうちにまた東京に行かなければならない」

とんぼ返りした理由に愛を感じて胸がときめいた。

(昨日も会っているのに、そんなにすぐ恋しくなる?)

同時に不思議にも思ったが、そういえば自分も寂しかったのを思い出した。

(私も今朝から何度も譲を恋しく思ってた。この気持ちはきっと、恋)

自覚が芽生えると急に恥ずかしくなり、年甲斐もなくモジモジしてしまう。

(この気持ちを大切に、もっと大きく育てたい)

そうすれば夫婦のスタートラインに立てそうな気がした。

照れながら、もうひとつの疑問を投げかける。

「私の居場所、よくわかったね」

家にいないから捜しに出たのはわかるが、まさか山中で会うとは驚いた。こちらの事情も目的地も把握していたのも不思議でならない。

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