ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「携帯が繋がらないからなにかあったんじゃないかと心配したんだ。鈴花を捜して近所を歩いていたら、お年寄りの旅行鞄を持って温泉街の方へ行く姿を見かけたと聞いたから」

「誰に?」

「名前はわからない。公営住宅の三階に住んでいる女性と、近くに住んでいる小さな男の子のお母さんだよ」

(そんなことが……!?)

今日、手助けしたふたりが関わっていたと知り驚いた。

「鈴花のことだから旅館まで案内したんだろうと思ったんだ。旅館を回って鈴花が湖畔楼温泉に立ち寄ったのを知った。そこの支配人とはこの前の会議で親しくなったから、事情を話したら湖山荘に向かったと教えてくれたんだ」

「そうだったの。山道で歩けなくなって困っていたんだ。タクシーを呼ぼうにも携帯の電波がなくて」

改めてホッとしている鈴花とは逆に、海崎の眉間には皺が寄った。

「本当に心配した。お年寄りとはいえ、男性とふたりきりで山を登るなんて。まるでハイキングデートだろ」

(えっ……嫉妬から捜してくれてたってこと?)

嫉妬深い人なのわかっていたが、高齢男性まで対象になるとは思わなかった。

呆気に取られていると、住宅街に入った車はスーパーマーケットの駐車場で停車した。

「人助けに精を出して、まだ買い物に行けてないんだろ?」

「うん。買い物より困ってる人を助けるのが先だもの」

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